マリブのブログ

ニ匹ののら猫と一緒に随時三匹の飼い主を募集中の元帰国子女。。オススメの映画やドラマの感想を徒然に紹介しています。

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映画『ノクターナル・アニマルズ』の私的な感想―捨てられた男の真意―(ネタバレあり)



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Nocturnal Animals/2016(アメリカ)
監督・脚本:トム・フォード
主演:エイミー・アダムス/ジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノン、アーミー・ハマー

 映像トリックの裏に秘められた深い闇 

ちょっと胸が苦しくなる映画です。

観た方の感想が真っ二つに分かれるこのミステリーは、デザイナー上がりのトム・フォードらしく作中の随所にアーティスティックな画が散りばめられていますがそのどれもがキッチュでダークな質感。

現実と過去、そして小説の中の3っつのストーリーをカットバックさせ、集中していないと幾分分かり難い解釈の表現も多いですが、最終的に自分は圧倒的な孤独を感じてしまいます。

それは、エイミー・アダムス演じるヒロイン・スーザンの抜け出せないコンプレックスによるものなのか、ジェイク・ギレンホール演じる彼女の元夫・エドワードの執着心からくるものなのか・・

 

どちらも夢を追い求め続けている人間にとっては、酷く痛々しい現実。

 

劇中劇の主人公トニーとスーザンとの過去に出てくるエドワードをジェイク・ギレンホールが一人二役で演じているので錯覚しそうですが、この映画は全てスーザンの主観から見せている作品です。

彼女の抜け出せないジレンマに主体をおいて見ると、作品の裏に隠れた深い人の闇が見えてきます。

ものづくりをしている人間、或いはそんな夢を過去に抱いていた方にとっては、何とも形容しがたい寂しさを感じてしまう作品かもしれません。。

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―――アートギャラリーのオーナーを務めるスーザンは自分の個展を開いてはみたがどこか心は満たされず。。
彼女の夫ハットンは表面上そんな彼女と平穏に暮らしてはいるが、実は経済的には破綻寸前で、ニューヨークに残した愛人との情事を重ね続けている。
そんなある日、彼女の元に20年前に離婚した元夫・エドワードから「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」と題された新作小説が送られてくる。
その題名は遠い昔にエドワードが不眠症の彼女に付けたあだ名。
満たされない思いが募るスーザンはその小説を読み進めていくうちに、次第に彼との過去の思い出を追想していく・・

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 エドワードの真意

20年越しに別れた妻の元へ送られてくる小説という、ちょっとロマンチックなプロローグから入るこの映画は、その小説を送った夫の真意の謎解きがメインのようで、見進めていくと何かが胸につっかかります。

キャチコピーの「それは、愛なのか、復讐なのか」という文句がミステリーの性質上、視聴者に一見見捨てられた元夫の復讐劇を連想させますが、それこそが監督の意図して織り交ぜた伏線。

主役のスーザンもまんまとこのミスリードに乗っかり、自分にハードボイルドな小説を送り付けてきたエドワードに憐みと後悔の念を持って彼の小説を読み進めていきます。

 

でも昔の恋人に未練が残っている方はちょっと思い出してみて下さい。

思いが伝わらず破局してしまったとはいえ、一度は愛した人間に20年も憎しみは続くでしょうか?

 

冒頭の送られてきた小説に添えられていたエドワードの言葉、

「君といた頃とは作風が違う」

という文章がこのミステリーの最大のヒントであり彼の希望なんですが、嫌悪していた現実主義の母親の血をすっかり受け継いでしまっているスーザンはその真意をつかみ取る事が出来ません。

主観のまま物語を読んでいく彼女は、小説の中で殺される娘に自分の娘の姿をダブらせ、主人公のトニーにもエドワードの姿を投影させます。

 

しかし実はそれはすべてスーザンが創り出した虚構

エドワードが小説の中で家族を守れないトニーに投影していたのはスーザン自身です。

 

そんな彼の20年越しに示した主体性を持てないスーザンへの最後の愛情も彼女には届かず、上辺だけの夫婦生活を取り繕う現実、通俗的な自らのアートセンスへの憤りから、夢を追い続けているエドワードへの主観的な妄想を彼女は膨らましていきます。

この永遠と平行線を辿る理解しあえないふたりの様子を観ていると、どうも現実世界での人間関係の有様そのものにリンクしてしまうような気がして・・

 

やがて憐憫の情からエドワードとの再会を決意する彼女は、それまでの自分のペルソナ的な深紅のルージュを拭い当時のままの姿で彼と会おうとしますが・・

この何とも言えない寂しさは、アートな世界に固執し続けてきた人たちにはちょっと感慨深いシーンではなかったでしょうか?

 

・・そして伝わらない思いをスーザンに抱き続けてきたエドワードの虚しさにも・・・

 

オープニングに出てくるルシアン・フロイドの絵画にインスパイアを受けた太った全裸女性たちのダンスシーンは、芸術に対する監督の揶揄が多少鬱陶しい気もしますが、ラストシーンで一人彼を待ち続けるスーザンの姿には、その裏で深い溜息をもらしているエドワードの姿がダブって見えてしまい、思いが永遠に伝わらない男の絶望感をたっぷり感じてしまいました。

 

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