マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

スリラー

映画『ゴーン・ガール』の私的な感想―虚構の夫婦の肖像画―(ネタバレあり)

GONE GIRL/2014(アメリカ)/149分 /本当の違和感 /結婚は理想であっても、現実ではない。 バツイチのまま四十もとうに過ぎてくると、ふとそんな盲信が生まれてくる。 アメリカ・ローリング・ストーン誌が選ぶ“2014年の映画ベスト10”にランクインしたこ…

映画『ナイチンゲール』の私的な感想―銃を向けた鶯達はなぜその引き金を引けなかったのか?―(ネタバレあり)

The Nightingale/2019(オーストラリア)/136分 /アボリジニの歌声 / 自分達が声と認識する“虫の音色”は、白人にとって雑音に聴こえるらしい。 これは古くから自然に畏怖の念を抱く、日本人だけが持つ特殊な感覚なのか。。 実のトコロ、この極めて左脳的…

映画『ゴーストランドの惨劇』の私的な感想―ハリウッドの惨劇を憂う皮肉な挑戦―(ネタバレあり)

Ghostland/Incident in a Ghostland/2019(カナダ、フランス)/91分 /強い既視感 /短いながらも、随所に強い既視感を感じるスリラーだった。 W主演のエミリア・ジョーンズは“ハリポタ”の頃のエマ・ワトソンそっくりだし、その母親役の歌手・ミレーヌ・…

【鑑賞注意】緊張感がハンパない!トラウマ級の戦慄スリラー映画10選《2019年保存版》

緊張感がハンパない!シンプルに鳥肌の立つ極上スリラー /いつの間にかすっかり夏本番。 今年の夏は、スリラー映画でも見て少し涼しくなってみませんか?

映画『マーターズ』の私的な感想―アンナの台詞に隠された本当の恐怖―(ネタバレあり)

Martyrs/2008(フランス/カナダ)/100分 /私的なベストスリラー映画 /この映画だけは胸糞なんて言葉じゃ、語りつくせない。 けれど大抵のレビューサイトでは、この映画の核心がイマイチ理解できてないような気がして。。 私的にはNo.1スリラー映画と呼…

映画『娑婆訶(サバハ)』の私的な感想―ヘロデ王の虐殺に準えた宗教戦争と人の祈り―(ネタバレあり)

사바하/SVAHA : THE SIXTH FINGER/2019(韓国)/123分 /ヘロデ王の大虐殺 /『コクソン』の二番煎じかと思い身構えてしまった自分が恥ずかしくなる程、純粋でストレートな思いをぶちまけた映画だ。 “サバハ”だか“バサラ”だかよくわからないこの手の単語…

映画『ザ・バニシング-消失-』の私的な感想―二つの金の卵が暗示するもの―(ネタバレあり)

SPOORLOOS/1988(オランダ/フランス)/106分/ /反社会性パーソナリティー障害を持つ男の真理 /子供の頃、ブランコを漕いでいる友人が、その手を放してしまう妄想を抱いた事はないだろうか? 半円を描く弧が次第に深くなっていき、彼らの目線の位置に大…

映画『セレニティー』の私的な感想―平穏の海のルールを破る者―(ネタバレあり)

Serenity/2019(アメリカ)/90分/90分 /現実では体験できないコト / ・・最近、面白い映画といい映画の違いがイマイチよく分からなくなってきた。 大勢の観客を納得させられれば面白い? 平和や人類愛なんかを訴えていればいい映画? 作り手側としては…

映画『海底47m』の私的な感想―禁断症状に陥った姉妹を襲うサメより怖いもの―

47 Meters Down/2017(イギリス)/90分 /減圧症と窒素酔いの恐怖 /ディープダイビングでは、1分間に18Mを越えないように浮上していかないといけないというルールがある。 これはダイビング経験者にとって生死を分けるポイントであり、麻痺や呼吸困難、場…

映画『ドント・ブリーズ』の私的な感想―侵入者を待ち受ける白濁した瞳の男―

Don't Breathe/2016(アメリカ)/88分 /フェデ・アルバレス監督の異才 /ルーニー・マーラーの魅力を余すところなく解放したデビット・フィンチャー監督の前作には少々及ばなかったようだが、『蜘蛛の巣を払う女』を監督したフェデ・アルバレスの異才が十…

映画『隣人は静かに笑う』の私的な感想―VODで解禁された名作スリラー―

Arlington Road/1999(アメリカ)/117分 /ティム・ロビンスの瞳 /・・タイトルからすると、まるで日本に挑発的な態度をとるかの国の様だけど・・ 主演のジェフ・ブリッジスは『オンリー・ザ・ブレイブ』では主人公の親友を演じた中々の技巧派だが、無冠…

映画『ホールド・ザ・ダーク』の私的な感想―子殺しに魅せられた本当のアラスカ―

Hold the Dark/2018(アメリカ)/125分 /エッジのききまくった厭世観 /ちょっとしたミステリー?スリラー映画?な感覚で自分の様に手を出してしまうと、激しく後悔する事になるだろう。 125分の長尺と物語の全体を覆う暗いムードだけでも落ち込んでいる…

映画『ベルリン・シンドローム』の私的な感想―崩壊した壁に囚われ続ける男―

Berlin Syndrome/2017(オーストラリア) / 絶叫クウィーン・テリーサ・パーマーの新境地 /監禁モノの映画にしては何だかあまりに切なすぎてちょっと泣けてきます。 『ウォーム・ボディーズ』からのゾンビにも愛される可愛らしさからか、テリーサ・パーマ…

映画『ノクターナル・アニマルズ』の私的な感想―捨てられた男の真意―(ネタバレあり)

Nocturnal Animals/2016(アメリカ) / 映像トリックに隠された真実 /ちょっと胸が苦しくなる映画です。 観た方の感想が真っ二つに分かれるこのミステリーは、デザイナー上がりのトム・フォードらしく作中の随所にアーティスティックな画が散りばめられて…

映画『ロスト・バケーション』の私的な感想―復活した現代版『ジョーズ』―

The Shallows/2016(アメリカ) / 絶景の海とサメの恐怖とのコントラスト 夏×海×映画と言えば定番なのがサメ。 その中でもこの映画は『ジョーズ』からの恐怖と『オープンウォーター』からの孤独感をしっかり継承し、随分丁寧に練り上げられたシチュエーシ…

映画『エル ELLE』の私的な感想―空っぽの女の美しさ―

Elle/2016(フランス、ベルギー、ドイツ) /ポール・バーホーベンの最高傑作である事は間違いない作品です。 『氷の微笑』 や『ショーガール』のようなもの凄く劣悪なエロティック映画を撮ってしまうわりには、『ロボコップ』や『トータル・リコール』等、…

映画『トンネル/闇に鎖された男』の私的な感想―韓国社会を皮肉る悲劇―

Tunnel/2016(韓国) /韓国映画らしい人間味に溢れたスリラー映画です。 閉じ込められる系のシチュエーションスリラーは、棺桶に閉じ込められた男のスペイン映画『リミット』(2010)や、実際に起きたチリの鉱山落盤事故を描いた『チリ33人 希望の軌跡』(…

映画『女神の見えざる手』の私的な感想―ロビイストの孤独と正義―

Miss Sloane/2016(アメリカ/フランス) /物語の最後で作品の印象が全く異なっていく珍しい映画です。 古典的なアメリカンサクセスストーリーと、叙情悲劇。 作品は終盤になるまでシニカルでウィットに富んだ会話劇の応酬なので、英語になれていない方は…

映画『ヒメアノ~ル』の私的な感想―R指定おかまいなしの森田剛の挑戦―

ヒメアノ~ル/2016(日本) /本作の原作を知らない方って、やっぱりそれなりに多いんでしょうか? 自分達アラフォー世代にとって、ギャグ漫画界のカリスマ的存在だった古谷実の作品が映像化に漕ぎつけられた時は、ちょっとした驚きでした。 「稲中卓球部」…

映画『ラストワールド』の私的な感想―世紀末を題材にした異色のSFスリラー―

THE PHILOSOPHERS/AFTER THE DARK/2013(アメリカ/インドネシア) /奇妙な邦題。何故か引き込まれるソフィー・ロウの魅力 綿菓子を掴むような、どこかふんわり朦朧としてしまう映画でした。 SF映画のつもりで見ると、きっと苛立ちが募ってしまうでしょう…

映画『フローズン』の私的な感想―閉ざされた雪山での本当の恐怖―

FROZEN/2010(アメリカ) /この作品は自分にとって又と無いうってつけの状況で観賞出来た、オススメというよりスリルを楽しむサバイバルワンシチュエーションスリラー映画です。 ストーリーは至って単純で、雪山に遊びに来たカップルとその友人が、係員の…

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