マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

SF

映画『ドニー・ダーコ』の私的な感想―銀色の兎の新解釈と孤独を癒すパラダイム―(ネタバレあり)

Donnie Darko/2001(アメリカ)/113分 /新世紀最高のカルト映画 /ストレス加担のコロナ自粛の影響は、冷静になってみると、自分にとってそんな悪い事じゃないかもしれない。 現にこんな事でもなければ、新世紀最高の超難解カルト映画と呼ばれるこの作品…

映画『ディープ・インパクト』の私的な感想―地球最後の日に寄り添う人―

Deep Impact/1998(アメリカ)/121分 /他人に不寛容な時代 / 私的な気持ちを吐き出せば、終末論は突然やってくるものではないと思っている。 新型コロナの感染力やシンギュラリティのように、ある日突然オーバーシュートするのではなく、不安が人の心に…

映画『AI崩壊』の私的な感想―人工知能は悩む人間に手を差し伸べられるのか?―

AI崩壊/2020(日本)/131分 /悪意のないSF映画 / 悪意のないSF映画を作るのは、結構大変だ。 和製『マイノリティ・リポート』との謗りも多かった割には、この映画は結構鋭く日本人の歪な感覚をついてくる。 AIの暴走なんてテーマは、ハリウッド映…

映画『十年』の私的な感想―香港デモから見る近未来のディストピア―(ネタバレあり)

TEN YEARS/2015(香港)/104分 /香港の真意 最近、遠い昔の記憶を掘り起こす為にも、巷で評判の中田敦彦のYouTube大学を見始めた。 やっぱり、あっちゃんは相変わらずかっこいーw これまで表層的だった歴史や政治、或いは宗教の知識なんかまでまとめて、…

映画『アド・アストラ』の私的な感想―ブラピが宇宙の彼方で取り戻すもの―(ネタバレあり)

Ad Astra/2019(アメリカ、ブラジル)/124分 /深層世界を掘り下げる宇宙映画 冒頭に登場する痩せた男を、ブラット・ピットと認識する迄に大分時間がかかった。 『ファイト・クラブ』や『セブン』あたり隆々しい顔つきが、未だに脳裏に焼き付いてしまって…

映画『アルキメデスの大戦』の私的な感想―菅田将暉の躍動感。戦争が生む集団心理の悲劇―

The Great War of Archimedes/2019(日本)/130分 /戦争映画のメインテーマ /戦争映画にアクションシーンはつきものだが、この映画はちょっと違う。 冒頭でいきなり沈没する戦艦大和のVFX以外に、山崎映画独特の迫力の戦闘シーンは殆どなく、彼の作品…

映画『オーヴァーロード』の私的な感想―J・J・エイブラムスプロデュースの新境地―

Overlord/2019(アメリカ)/110分 /J.Jエイブラムスの新境地 /J・J・エイブラムスは期待を裏切らない。 本来ならそんな出だしで絶賛したいのだけど、彼にはちょっとした過失がある。 敬愛するドラマ『LOST』の製作総指揮から脚本、監督、音楽まで熟して…

映画『孤独なふりした世界で』の私的な感想―世紀末に本当の愛はあるのか?―

I Think We're Alone Now/2019(アメリカ)/93分 /孤独を愛する者 /『GOT』のティリオン役でも有名になったピーター・ディンクレイジは、何よりもその小さな背中から嫌みのない強烈な男の哀愁を感じさせてくれる。 それが『ハンドメイズ・テイルズ』でデ…

映画『デイ・アフター・トゥモロー』の私的な感想―現実に近づく地球氷河期―(ネタバレあり)

The Day After Tomorrow/2004(アメリカ)/124分 /王道のディザスタームービー /ゾンビモノ映画に次いで自分が欠かさず毎年チェックしているのは、実は災害をテーマにしたディザスタームービー。 近年ではその陳腐なドラマ性のおかげですっかり見る気が…

映画『パッセンジャー』の私的な感想―オリジナル脚本に込められていた本当のテーマ―(ネタバレあり)

Passengers/2016(アメリカ)/116分 /実現できなかったオリジナルの脚本 /・・まるで手塚治虫の描いた世界の様だけど。。 Rotten Tomatoes等の映画批評サイトではすこぶる評価の低いこの作品は、私的にはちょっと考えさせられる深みのあるスペーススリラ…

映画『アルカディア』の私的な感想―カルト集団の奇跡に魅せられた兄弟―

The Endless/2017(アメリカ)/111分 /複雑な感情の兄弟が迷い込む異世界 /原題と冒頭のインタータイトルでその世界観を殆ど説明してしまっている感は否めないが、それでもこの手の映画は割と嫌いじゃない。 複数のファンタスティック系の映画祭で賞を取…

映画『バード・ボックス』の私的な感想―あれを見てしまった人間達は・・―(ネタバレあり)

BIRD BOX/2018(アメリカ)/124分 /現代社会の一片を切り取ったディストピア /『すべての終わり』に続き、Netflixがポストアポカリプス映画にも本格的に参戦し始めてきたみたいだ。 ドラマ作りはともかく、映画というジャンルにおいてはイマイチ良作の少…

映画『HOSTILE ホスティル』の私的な感想―異形の世界で繋がる究極の愛のカタチ―

HOSTILE/2018(フランス)/83分 / 永遠の愛のカタチを模索するロマンス 久しぶりにじっくり考えさせられる映画を見た気がする。 ポスターにある主演のブリタニー・アッシュワースが抱きしめる異形の生物の正体は、勘のいい方なら案外直ぐに分かってしまう…

映画『クワイエット・プレイス』の私的な感想―正体不明のクリーチャーが包み込む沈黙―

A Quiet Place/2018(アメリカ)/95分 /リアルな質感が揃った究極のサバイバル /円あって試写会で見せてもらったのだが、中々に斬新で秀逸なスリラー。 タイトルの“クワイエット・プレイス”を直訳すると“静かな場所”となるのだけれども、95分間殆ど音の…

映画『モンスターズ/地球外生命体』の私的な感想―SF世界の舞台裏で彷徨う人間たち―

Monsters/2010(イギリス) /エイリアンの襲来後の世界を舞台にしたこの作品の根幹は完全なロードムービー。 ふたりの男女が汚染地帯と化したメキシコからアメリカの国境を越えるまでを描いていますが、邦題の地球外生命体は殆どはっきりと現れてきません。…

映画『メッセージ』の私的な感想―ノンゼロサムの未来―

Arrival/2016(アメリカ) /宇宙映画の概念を覆す秀作 いつか誰かに伝えたかった名作です。 この映画だけは、一人ではなく誰かと見るコトをオススメします。 宇宙モノの映画ですけど主軸は殆ど哲学。 というより、感覚的にはむしろ文学に近いような気もし…

映画『パーフェクト・センス』の私的な感想―感じなくなる世界―(ネタバレあり)

Perfect Sense/2011(イギリス) / 哀愁に満ち溢れたアポカリプス SF映画にしては随分と情緒的な作品です。 『トレイン・スポッティング』の頃の妙味はユアン・マクレガーにはもうあまり感じられませんが、代わりに彼の成長した大人の哀愁が随所に漂いま…

映画『時空の旅人』の私的な感想―アラフォーにおすすめの名作アニメ―

時空の旅人/1986(日本) /時空を超えるノスタルジーアニメ 『時をかける少女』や『魔界転生』等、角川映画が全盛期だった80年代後半、アニメ映画として『火の鳥ー鳳凰編ー』との懐かしい2本立て上映で公開されたこの映画ですが、正直余りヒットはしていま…

映画『ミスト』の私的な感想―ラストシーンに待ち受ける衝撃のトラウマ―

The Mist/2007(アメリカ) /フランク・ダラボンの作品は殆ど見てきましたが、彼は基本的に大どんでん返しが好きなんでしょうか・・? 『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』等で感動的なラストシーンを作り上げてきた彼も、実は元々はホラー映画…

映画『スワロウテイル』の私的な感想ー円都(イェンタウン)に憧れてー

Swallowtail/1996(日本) /「フェイホン」覚えている方います? ええ、若かりし頃の馬鹿な自分は、彼に触発され髪の毛を緑色に染めていた時期もありました。。 岩井俊二の独特な世界観と、鼻にかかった気だるい声で歌う「YEN TOWN BAND」の音色が心地良過…

映画『CASSHERN』の私的な感想―誰かの願いが叶うころ―

CASSHERN/2004(日本) /国産SFアクション映画の新境地 当時から賛否両論のあるこの作品ですが、自分は全然嫌いじゃありません。 尺の長さや演出の不出来等、映画としてのツッコミどころは満載ですが、それでも120分間十分に紀里谷ワールドの真骨頂とも…

映画『境界線』の私的な感想―二人だけが取り残された世界―

BOKEH/2017(アイスランド/アメリカ) /皆さんは『Bokeh』(ボケ)が世界共通語だという事を知っていましたか? 写真や映画でワザと背景等をボケさせる意味でよく使われるこの言葉は、昨今世界共通語になったそうです。

映画『コンタクト』の私的な感想―カール・セーガンに捧げた宇宙叙情詩―

Contact/1997(アメリカ) /自分にとっての宇宙映画のNo.1は『2001年宇宙の旅』でも『ET』でも『アルマゲドン』でも『インディペンデンスデイ』でもなくこの作品。 今では少々チープに見えてしまう90年代後半のCG技術ですが、自分がこの映画を推す一番の…

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