マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

戦争

映画『1917 命をかけた伝令』の私的な感想―110分間のワンカットで繋がれたもの―(ネタバレあり)

1917/2020(アメリカ/イギリス)/110分 /偏ったカタルシス / サム・メンデス監督の作品は、偏ったカタルシスが強い。 『ロード・トゥ・パーディション』では、疑似親子の確執を。 『レボリューショナリー・ロード』では、幻想夫婦の崩壊劇を。 自身の監…

映画『野火』の私的な感想―人間の極地が生み出す地獄絵図。薄れゆく戦争の記憶―

Fires on the Plain/2015(日本)/87分 /戦争映画に求めるもの /終戦から74年の月日が経った。 けれど、この苛烈な戦争映画を見ようとする日本人は滅多にいない。 そんな自分も、この映画に手を出すまでには随分と長い時間がかかってしまった。 あまりに…

映画『アルキメデスの大戦』の私的な感想―菅田将暉の躍動感。戦争が生む集団心理の悲劇―

The Great War of Archimedes/2019(日本)/130分 /戦争映画のメインテーマ /戦争映画にアクションシーンはつきものだが、この映画はちょっと違う。 冒頭でいきなり沈没する戦艦大和のVFX以外に、山崎映画独特の迫力の戦闘シーンは殆どなく、彼の作品…

映画『バハールの涙』の私的な感想―戦場の女達が託す尊厳と希望―

Les filles du soleil/Girls of the Sun/2017(スイス、フランス、ベルギー、ジョージア )/111分/120分 / 実在のモデルとIS /ドキュメントのような悲壮感がたっぷり漂う作品だった。 中東の女達の悲鳴にも似た叫び声がしっかりと聴こえてくる・・

映画『聯合艦隊司令長官山本五十六』の私的な感想―戦争の裏にあるもの―

聯合艦隊司令長官 山本五十六-太平洋戦争70年目の真実-/2011(日本) / 昭和男児の面影 /終戦記念日にちょっと振り返ってみたい戦争映画です。 「太平洋戦争70年目の真実」なんてあからさまな客寄せキャッチコピーを付けられたおかげで、時代考証の誤認や…

映画『太陽の帝国』の私的な感想―少年が夢を馳せた戦争―

Empire of the Sun/1987(アメリカ) / 喪失した少年の心 /長崎の原爆の日に哀悼の意を込めて。 私的な戦争映画のオールタイムベストです。 それまでヒットメーカーだったスピルバーグのターニングポイントとなったこの映画は、同年公開された『ラストエ…

映画『火垂るの墓』の私的な感想―33年目の真相。戦争が生み出した本物の煉獄―

Grave of the Fireflies/1988(日本) / 唯一無二の悲劇を伝える戦争アニメ /1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分、広島に原爆が投下されました。 日本人にとっては忘れられない日。忘れてはいけない日。 自分たちの感覚の何処かに夏に切なさを感じるの…

TBSドラマ『この世界の片隅に』の私的な感想―傘問答にみる日本人の情緒―

この世界の片隅に/2018(TBS) / 連続ドラマとして描く戦争ドラマ 久しぶりに日本の連ドラを見始めました。 元のアニメ映画やドラマも一切見たことはないんですが、周りの映画関係者の評判が頗る良いのでちょっと手を出してみようかと。。 何とも言えない…

映画『プライベート・ライアン』の私的な感想―極限状態から見出す本当の愛国心―

Saving Private Ryan/1998(アメリカ) ・・この時期になると、毎年この映画の事を思い出します。 王道中の王道戦争映画ですが、一度は誰もが見るべき戦争の現実。 アメリカエンターテインメント・ウィークリー誌が、史上最も愛国的なアメリカ映画ベスト1…

映画『ウィンストン・チャーチル』の私的な感想―ヒトラーから世界を救ったゲイリーの熱演!―

Darkest Hour/2017(イギリス) /重厚で質感の高い映画でした。 『シェイプ・オブ・ウォーター』にまだ手が出せていない自分にとっては、この映画に前回のアカデミー賞を全て与えたい気がします。 だってゲイリー・オールドマンですから。 公言しますが、…

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