平成を振り返る邦画5選
間もなく31年間の平成の歴史に幕が下りようとしている。。
グローバリズム?アベノミクス?
なんて、世間にすっかり浸透しているそんな言語も、閉鎖的で隔離された社会で暮らしていると、その辺の恩恵に預かる事は全くない。。
ブラック企業だの、働き方改革等と言った戯言も、そんな世界にどっぷり20年以上も漬かってきた自分達からすれば、
ナニ?今更?
ぐらいの感覚しかないワケで・・・
・・・まあ、過酷な労働条件の映画制作自体が、仕事ではなく夢の延長線上なので、わりきっていくしかないと歯を食いしばってます・・・。
今回は、そんな相変わらず世間からはみ出し者扱いしかされない映像業界の末席に身を置かさせてもらっている自分が、なるべくフラットな視点で平成の文化を分かりやすく伝えてくれた邦画を、厳選して5本紹介してみます。
1番面白い映画でも1番売れた映画でもなく、1番平成の時代を象徴した映画というのが今回のポイント。
殺伐としたこの時代を、アラフォー世代がもう一度振り返ってみたくなった時にでも・・
・・最近、大衆迎合的な映像作りの現場と全くウマが合わず、若干やさぐれモード全開中な事は何分ご容赦下さいm(__)m
- 平成を振り返る邦画5選
- ⑤『GONIN』/1995/109分
- ④『春との旅』/2010/134分
- ③『モテキ』/2011/118分
- ②『ラブ&ポップ』/1998/112分
- ①『バトル・ロワイアル 』/2000/114分
⑤『GONIN』/1995/109分
出演:佐藤 浩市、本木 雅弘、竹中 直人、根津 甚八、椎名 桔平、永島 敏行、鶴見 辰吾、木村一 八、室田 日出男、北野 武
バブルの終焉。平成の始まりと共に狂気に走る男達
個人的には、平成は昭和の残り香の中から不意に始まったと思っている。
そんな時代に見捨てられた男達の退廃感、或いはその焦燥感をたっぷり詰め込んだバイオレンスアクションと言えばこの作品。
借金まみれのクラブ経営者、汚職警官、売り専を装ったゆすり屋等、登場人物はすべて昭和を駆け抜け破綻した男達で、バブルの終焉の中、彼らは何かに突き動かされる様に狂気に魅せられていく。
日常の真横に暴力があった時代を石井隆独特のセンスで切り取り、揺れ動くライティング、突然シャッタースピードを変えたスローなカメラワーク等を織り交ぜて、不安定な人間の心象風景を刹那的に描いている。
今ではあり得ない程の豪華キャストを揃えた日本を代表するフィルム・ノワールの一つだが、劇中に登場するリストラサラリーマンの影の蛮行に気付いてしまうと、この映画の闇は更に深くなってゆく。。
『GONIN』は
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④『春との旅』/2010/134分
出演:仲代 達矢、徳永 えり、大滝 秀治、菅井 きん、小林 薫、田中 裕子、柄本 明、淡島 千景、戸田 菜穂、香川照之
『リア王』に準えた現代家族
時代に取り残された老人のみすぼらしさが詩情を誘う群像劇。
頑固一徹の生き方しか知らない祖父がその孫娘が職を失った事を期に、二人で安住の地を探し求める旅路の様子とその親類縁者とのわだかまりを描く。
この手の老害の怒りを上手く理解できない方も多くいるようだが、その裏にあるのは実直にしか生きられなかった人間の圧倒的な寂しさ。。
作品は終始怒号と罵声が飛び交うが、昭和から平成にかけて時代をひたすら生き抜いてきた不器用な人間との寄り添い方を見つめ直すには、超高齢化社会を迎える令和世代の厳しい現実が予期されているかのように見事に描かれている。
黒澤映画の『乱』を彷彿とさせる仲代達也の傍若無人ぶりな名演は、かなりの必見。
『春との旅』は
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③『モテキ』/2011/118分
出演:森山 未來、長澤 まさみ、麻生 久美子、仲 里依紗、真木 よう子
Twitter世代の若者の恋愛観
平成を代表する非モテ系男子のバイブルと言っても過言でない作品な気がする。
ナイーヴでコミュ障、更には臆病な恋愛観で右往左往する森山未來の様子には、どうしても自分達の姿が重なってしまう。。
テレ東の連ドラ枠から派生したこの映画は、独りよがりな自滅キャラの主人公の設定はそのまま。
下北、三茶、三宿と若者の情報発信文化のど真ん中で、クセのある女達に振り回されながら、再度訪れた人生のモテキに戸惑う男の日常を描く。
ちょっぴり寂しさを抱えた天真爛漫少女、オトコに依存しながらも自立していくアラサー女等、彼を取り巻く女性達の心理描写は、現代の日本女性のテンプレートの様でもあり、あまりに逞しい。
更にそんな彼女達を演じる女優陣の愛おしさといったら・・
劇中に流れるPerfume、TOKYO No.1 SOUL SET等のサブカル系ミュージックは、渋谷を中心にした若者文化の象徴でもあり、ラストの「今夜はブギー・バック 」で甘酸っぱい思い出が頭を過らないアラフォー世代はまずいないだろう。
Twitterやライブフェス、フラッシュモブ等、平成の芳香をたっぷり漂わせる演出も見逃せない。
『モテキ』は
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②『ラブ&ポップ』/1998/112分
出演:三輪 明日美、希良梨、工藤 浩乃、仲間 由紀恵、浅野 忠信
コギャル全盛期のオトナ達の歪み
平成の文化を語る時に渋谷は欠かせない。
そんな街に集まる女子高生達に臆することなく、“エヴァ”の廣野監督がピンスポットを当てた衝撃作といえばこの作品。
女性の社会進出が一足飛びで加速する一方、テレクラ、出会い系、パパ活と、名前を変え少女達が自分をウリに走る源にある倦怠感。。
平成初期のカルチャーの影で蠢く男達の歪んだ欲望も含めて、この映画は善悪の判断基準がイマイチ良く分からない若い世代に、一度は目を背けずに見てもらいたい映画だ。
「ラブ&ポップ」は
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①『バトル・ロワイアル 』/2000/114分
出演:藤原 竜也、前田 亜季、山本 太郎、栗山 千明、柴咲 コウ、安藤 政信、高岡 蒼佑、塚本 高史、ビート たけし
平成の混沌を象徴する問題作
平成を象徴するワードはやっぱり迷走だと思う。
そんな混沌を最初に強く印象付けたのはきっとこの作品だろう。
学級崩壊が横行する中、“強い大人”を作り上げる為に国によって定められた架空の法律に則り、デスゲームに身を投じていく中学生のサバイバル描写はかなりのインパクトだが、その繊細で壊れやすいガラスのハートの機微にも注目してもらいたい。
「ねえ、友達殺したことある?」
なんてキャッチーなフレーズの元、この映画の公開前には青少年への悪影響の懸念等が実際の国会でも審議されたが、作品の根幹にある普遍的な国に対する不信感と憎しみは、失業者や少年犯罪が増加し続けていく当時の社会背景とも完全にリンクして話題を呼んだ。
荒ぶる魂で日本の青春活劇を撮り続けた深作欣二監督の遺作としても評価は高いが、ビートたけし演じる担任教師と女子生徒との心の触れ合いは、平成の世で露わになってきた人間の孤独感を、寓話的だがしっかり表現している。
派生作品やゲーム化等、この手のバイオレンスを模倣した安直なVシネ等が世間では随分横行したが、映画の舞台となるこのディストピアそのものが、想像力を失いつつある令和時代に受け継がれなければいいけど・・
『バトル・ロワイアル』は
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