Game of Thrones/2011~(アメリカ)
製作総指揮:デイヴィッド・ベニオフ、D・B・ワイス
出演:ショーン・ビーン、レナ・ヘディ、ニコライ・コスター=ワルドー、キット・ハリントン、エミリア・クラーク、ピーター・ディンクレイジ他
仮想世界史に夢を馳せる壮大なグレート・ゲーム
最近、実は映画をあまり見ていません。。
近年海外ドラマの質が良すぎて、どうしてもそっちを追っかけてしまっていて・・
その中でも文句なく一番ハマってしまったのがこの、
『ゲーム・オブ・スローンズ』です。
丁度昨年の今頃、自分は仕事が一段落し、何かオススメの映画でもないかと上司に相談したところ出てきたのがこのタイトル。
本来往年の名作映画をこよなく愛するはずの古希手前のジジイの彼が、年甲斐もなくドラゴンや悪霊が出てくるドラマの話を熱く語りだしてしまったので、遂にボケたかと愛想笑いで聞き流してましたが、どうせヒマなので仕方なく観てみようと思ってはいたんですけど、どうしても最初このメインビジュアルに中々馴染めなくて・・
どうせ『ロード・オブ・ザ・リング』や『ハリーポッター』シリーズの流れのモノだろうと思い、タカをくくって見始めたら・・
完全にハマりました。。
その後の仕事をサボってまでして、シーズン6迄2週間まるごとぶっつづけで昼夜問わず観続けてしまいました。。
ファンタジーもの、歴史系のドラマでこんなに観続けられたのは、これが初めてだと思います。
自分にとってはドラゴンも魔女も悪霊も、正直どーでもいいんですが、このドラマはそんなファンタジーの世界で泥臭く生きる人間達の愛憎劇がとても丁寧に描かれている作品です。
更にこのドラマのもう一つの大きな魅力は、現代の世界情勢に疎いヒトにでも為政者たちの権力闘争や侵略に至るまでの様々な思惑を想起する事が出来る、仮想世界史の中での壮大なグレート・ゲームである事。
なので今回はこの作品をまだ観ていない幸せな貴方に、その魅力とおすすめのポイントを出来るだけ簡潔にまとめてみます。
『ゲームオブスローンズ』って?
『Game of Thrones』とは『王位を巡るゲーム』です。
ジョージ・R・R・マーティン著のファンタジー小説シリーズ『氷と炎の歌』を原作に、アメリカHBOで2011年よりテレビドラマ化されたこの作品は、時代背景的には中世ヨーロッパ及び地中海沿岸の国々をモチーフにしているので、一見歴史ものドラマに聞こえるかもしれませんが、物語は全て完全な架空の世界での物話です。
かつて七王国が支配していたウェスタロス大陸というイングランドに似せた大陸を舞台にした一大叙事詩で、後に統一を果たしたバラシオン家の衰退によって、それぞれの名家が再び大陸を支配する王位をかけた戦いに巻き込まれていきます。
地図にするとこんな感じです。
ファンサイト(とぼたん・あきほんサン)による地図より
ただこの『ゲームオフスローンズ』の醍醐味は、そんな国盗り合戦の歴史だけではなく、物語に出てくる様々な個性溢れるキャラクター達の悲劇が一番の見せ所なんじゃないかと・・
正直最初は、登場人物達の顔と名前を覚えるだけで疲れてしまいます。。
一度は見始めた方も、このあまりに多いキャラクター達の複雑な背景と人間関係についていけず、途中で投げ出してしまったヒトも多いいんじゃないでしょうか?
自分も実は、一話だけ見て三日間放置しました。。
しかしネット上にある人物相関図をダウンロードし、それを見ながらストーリーを観ていくうちに、
いつの間にか止まらなくなりました・・。
多分、シーズン1の5,6話あたりまででしょうか・・?
大勢いるキャラクター達の誰か一人にでも感情移入出来るようになれば、結構スムーズに観れてしまいます。
老若男女+様々な人種が出てくるので、必ず貴方も誰かのファンになれるはずです。
中でも自分の一番のオススメは、
イアン・グレン演じるジョラー・モーモント。
彼『バイオハザード』シリーズでは悪役のマッドサイエンティストのアイザックス博士を演じたり、日本の篠田正浩監督の『スパイ・ゾルゲ』なんかでは歴史上に実在した本物のスパイを熱演した渋メン俳優なんですが、このドラマの中では何とも言えない切ない哀愁の騎士を演じています。
見て頂ければわかりますが、もうこの彼の悲哀は男女問わずたまらないはず。。
そして彼だけではなくこの物語の登場人物は皆、その誰もが内に何かしらの悲劇を抱えているというコト・・
最初はどうしても豪華なセットやCGに目が奪われがちですが、緻密に練り上げられた感のあるそれぞれの残酷でいいようのない悲しみに、貴方も次第に引きずり込まれていくでしょう。
スケールの違う世界観
『Game of Thrones』は現在までにシーズン7までが放送され、その最終シーズンでは平均視聴者数が3000万人を超え放送局史上最高の視聴率を更新しました。(Feb.1st.2018)
その製作費は桁違いで、シーズン5迄で1話6億5千万円、シーズン6からは1話11億円で現在までのシリーズ累計では総額512億円というありえない程の巨額の予算が投入されています。(1ドル=109円換算)
更に来年2019年4月に日本公開予定となる最終章シーズン8では、1話につきなんと21億円を費やし全6話を1年半にかけて世界各地で撮影する事を発表。
主なロケ地は北アイルランドをはじめ、マルタ、クロアチア、アイスランド、モロッコ、スコットランド、スペイン、カナダ、アメリカと正に文字通り世界中を飛び回り撮影をしています。
近年アイスランドで製作された他の映画はコチラ。
とりあえず押さえておきたい6人の視点人物
現在シーズン7までが終了し、数々の名キャラクター達がその歴史の影に消えていきましたが、 ここでは序盤から登場する主要キャラ6人を紹介していきます。
エタード・スターク(ショーン・ビーン)
スターク家/通称”ネッド”
ウェスタロス大陸北部、ウィンターフェル城城主。頑固で実直だが情に厚く、国王の唯一の親友。『王の手』に襲名され南下する。
ジョン・スノウ(キット・ハリントン)
エタードの落とし子/”ナイツウォッチ”
エタードの落とし子としてスターク家に育てられるが、相続権がない為、七王国の北の境界にある”壁”を守る冥府の守人として生きていく決心をする。
サーセイ・ラニスター(レナ・ヘディ)
ラニスター家/ロバート王妃
キングスランディングに居を構える王妃。気高く、気品に満ちているが、その実は孤独で双子の弟ジェイミーにしか心を許していない。
ジェイミー・ラニスター(ニコライ・コスター=ワルドー)
ラニスター家/通称”キングスレイヤー”
ロバート王の側近の騎士団‘’王の盾””を務めるサーセイの双子の弟。
剣技に長けているが尊大でエタードに対しライバル心を燃やしている。
ティリオン・ラニスター(ピーター・ディンクレイジ)
ラニスター家/通称”インプ”
サーセイとジェイミーの弟。大酒飲みで自由奔放だが知性は極めて高い。彼の出産により母親が死んだことで、父親からはその容姿も含め忌み嫌われている。
デナーリス・ターガリエン(エミリア・クラーク)
ターガリエン家/愛称”カリーシ””ドラゴンの母”
ロバート王に倒された前王エイリス2世の末娘。ウェスタロス大陸を追われ、遠い西の地エソッスから復讐を誓って祖国を取り戻そうとする兄に従属している。
全員が何かしらの悲しみや秘密を抱えたまま模索し生き抜いており、不条理な戦時下においての数々の悲劇的なエピソードは、貴方の心にもきっと突き刺さるモノがあるはずです。
普通のファンタジー&歴史ドラマにはない10のポイント
普段ファンタジーや歴史ものドラマをあまり見ない自分が、この作品には素直に入り込めたポイントを幾つか箇条書きにしておきます。
①歴史がすべてフィクションな為、史実との相違や先入観がない
②ファンタジーのような魔法や妖術での戦いが殆どない
③衣裳や小道具、美術セット等があまりに緻密で繊細
④生々しい描写(ベッドシーンや惨殺シーン)も躊躇なく見せる(R15指定)
⑤奴隷や娼婦等、普通の作品では描きにくい底辺の生活にもちゃんとスポットを当てている
⑥特定の主人公がいない
⑦重要人物でも必要性があれば躊躇なく殺す
⑧善悪で区別せず、それぞれを群像劇で描いている
⑨『The Walking Dead』よりゾンビが強い(主観ですが・・)
⑩『ウェントワース女子刑務所』より女が更に強い(これも完全に主観ですが・・)
というように、要はとてつもない製作費をかけてはいるが、それをCGやシチュエーションで誤魔化さず、狂おしい程の人々の愛憎劇をちゃんと描いている人間ドラマなんです。
・・この作品は世界的に大ヒットしているはずなんですが、なぜ日本ではあまり噂にならないんでしょうか・・?
『ゲーム・オブ・スローンズ』は
hulu(月額933円/無料期間=2週間)で最終章まで観賞できます。
Amazonプライム(年会費4900円※月換算500円)でも最終章まで会員特典で無料で観れます。