マリブのブログ

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映画『メメント』の私的な感想―記憶のない男の記録―



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Memento/2000(アメリカ)
監督:クリストファー・ノーラン
主演:ガイ・ピアース/キャリー=アン・モス、ジョー・パントリアーノ

 タトゥに刻まれた真相を探る男の結末

ちょっとカテゴリーを整理していたら、おすすめのサスペンス映画がやけに少ないことに気付いてしまいました。

『ウェントワース』のドラマの連載記事を書いていた為か、サスペンス好きなのにそのジャンルの映画紹介を全くしてなかったので、今日は思い切って私的なNo.1サスペンス映画を紹介します。

 

『めまい』『セブン』も侮れませんが、この作品はサスペンスとしての謎解き、表現方法、概念とどれをとっても一級品。

更に見終わった後に感動までしてしまったサスペンスは『メメント』だけな気がします。。

いつの間にかMARBEL系のブロックバスター映画監督になり果ててしまったクリストファー・ノーランですが、私的には彼はこの作品でその才能の全てを出し切ってしまったと思っていますw

 

彼の弟、ジョナサン・ノーランが書いた短編小説『Memento Mori』(メメント・モリ)を原作に第59回 ゴールデングローブ賞の最優秀脚本賞にノミネートされたこの映画のテーマはズバリ記憶。

妻が殺された時に受けた障害から、10分間の記憶しか持てない男の復讐劇が始まっていきます。

・・そしてその記憶そのものが、もし、誰かに操られていたとしたら・・・

 

とこれだけでも中々のサスペンス要素満載なのですが、更に秀逸なのはその謎解きの見せ方と彼の復讐の真意。


大分集中して観賞しないと理解できない難解なストーリーですが、その実は非常に繊細に練り上げられた人の業を描いたドラマでもあるので、今回はその謎解きの3つのヒントと感想を極力ネタバレナシで紹介してみます。

  

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―――逆回しに情景が薄れていくポラロイド写真。
レナードが手に持つ拳銃で男を殺害したシーンが巻き戻ってゆく・・

彼は何時からその古びたモーテルに居たのだろうか・・?
彼をレニーと気軽に呼ぶ男がその部屋を訪ねてくる。
男に促されるまま乗り込むレナードの車のサイドガラスは粉々に割れている。
やがて、ふたりがやってきたのは町はずれの鄙びた廃工場跡。
レナードが上着のポケットに手を入れると、”テディ”と書かれた男のポラロイド写真が出てくる。
そして”やつの嘘を信じるな、やつが犯人だ 殺せ”とも・・
レナードは、殺された妻の復讐を胸に誓い生きてきた。
彼は拳銃を取り出すと、ファーストシーンそのままにテディに向けてその引き金を引く・・

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 ①逆行する時間軸

敢えて冒頭シーンのみ紹介してみましたが、この映画の秀逸な点はまずはこの見せ方

曖昧な記憶の断片を繋ぎ合わせるかのように、この映画はストーリーラインを逆再生で描写していきます。

つまり、この映画はエンディングシーンから始まりファーストシーンで終わります。

「・・サスペンスなのに結末が分かってしまっていいの?」

という声が聴こえてきそうですが、それこそがこの映画の真骨頂。

妻を殺害した殺人犯の殺害という一見事件の顛末を描き切ってしまったトコロから、その事実の整合性を紐解く新たなミステリーが始まっていきます。

そしてそのストーリーラインと並行し描写されていくモノクロ映像の彼の記憶は、レナードの何時の時間軸を表しているのでしょうか・・?

 

 ②登場人物たちの嘘

この映画を見るに当たってもう一つ気を付けなければいけないのは、この作品の登場人物たちの

単純に考えて記憶障害者による復讐劇なので、そこにつけ込もうとする人間の悪意が周りに存在するのは必然です。

そして問題は誰が何の目的で、レナードを利用しようとしているのかを見極める事。

更にその周りに蔓延る悪意は、保険調査員をしていたレナード自身の過去にしても例外ではなく、彼がモーテルで電話越しに話すサミーという男のストーリーは、どこまでが事実で誰に向かって話されているのでしょうか・・?

  

 ③記憶の優位性

前代未聞の映像技法で人間の記憶の曖昧さを表現するこの作品では、時間軸を巻き戻していくその過程で、レナードの記憶の優位性も変化していきます。

 

皆さんは記憶が曖昧な時にはまず、何をしますか?

大抵の方は記録をとる事から始めるでしょう。

しかしその記録自体、自分が残したモノだと記憶出来なかったとしたら・・?

 

記憶は記録によって変わります。

その記録も実はその時の感情によって変化していきます。

更にその感情に、強い影響を与える情念が宿っていた時には・・

 

と問題を紐解いていくと、レナードの計り知れない闇の真相に近づいていけます。 

 

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 「メメント・モリ」

人が本来普遍的に信頼しているはずの記憶そのものが曖昧なまま、殺された妻の記憶だけで彷徨う男の復讐劇というだけでもかなりの哀愁たっぷりですが、この映画の最大のテーマは原作にもあるメメント・モリの概念。

メメント・モリとは?

メメント・モリ(羅: memento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句。「死を記憶せよ」「死を想え」[1]などと訳され、芸術作品のモティーフとして広く使われる。

wikipediaより

 

この概念を詳しく解説して頂いているブログの記事を見つけたので、宜しければ参考までにどうぞ。

www.arupakano.com


「死を記憶せよ」「死を想え」

というこの思いから、レナードの深層心理が浮かび上がっていきます。

 

妻の殺害犯の真相彼の忌まわしい過去の想い出を並行して謎解いていくのが、この映画がサスペンスとして極上な趣を醸し出す所以。

そしてその全ての謎が解き明かされた時の、いいしれぬ物悲しさ業深い人間の性の様なものをスタイリッシュに描く映像美には言葉を失ってしまいます。

 

・・失われた記憶の中に、愛する人への後悔が残っていたら、貴方はどうなりますか?

 

『メメント』は以下のVODで観賞できます。
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