マリブのブログ

ニ匹ののら猫と一緒に随時三匹の飼い主を募集中の元帰国子女。。オススメの映画やドラマの感想を徒然に紹介しています。

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映画『クラッシュ』の私的な感想―ココロが震える、圧巻の魂の叫び声―

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Crash/2005(アメリカ)/112分
監督/脚本:ポール・ハギス
出演:サンドラ・ブロック、ドン・チードル、マット・ディロン、テレンス・ハワード

 忘れません。この映画は。

この作品を誰かに伝えたくて、著者はこのブログを初めました。

感動というより、見終わった後の胸の奥の小さなぬくもりが今でも忘れられません。

多民族国家を象徴するようなアメリカの、様々な人種が行き交う冬のLA。
一台の車の衝突事故から、接点のなかった人々の些細なボタンの掛け違いが、いくつのもの切ない物語を生み出していきます。

え?LA?

寒々しい風景描写と情緒的なカメラワークのせいか、自分はすっかり舞台はNYだと思い込んでいましたが。

冒頭のサスペンス調な質感に幻想的なボケ具合が見事に絡み合い、漂うように自然と物語に吸い込まれていくあの感覚。。

が、油断していると、直ぐに置いていかれてしまいます。

5,6人のオムニバスが出来そうなくらいの複数のエピソードが同じ時間軸で並行して進んでいくので、正直ストーリーを追っていくのはちょっと複雑。

酔っぱらった勢いや、寝不足の日に見るのはちょっと避けた方がいいかも。

自分もこの映画を1度ではちゃんと理解出来ず、何度も見返しています。

が、それぞれの物語が絡み合っていく様は正に絶妙。

締め付けられるような想いと胸をなでおろす描写の連続で、凝縮され緻密に練りこまれた感のある脚本には圧巻の一言。

この物語に主演はいません。数人のビックネームの俳優陣が、微妙な役どころの芝居を見事に演じ切ってくれています。

 

 

 

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ストレスフルな白人上流階級婦人ジーンを演じるサンドラ・ブロック
(『スピード』『デンジャラスビューティー』『しあわせの隠れ場所』等)

彼女の無邪気な笑顔を見なかった作品は、これが初めてかも。。
お茶目でコケティッシュなイメージの強いサンドラ・ブロックがアメリカのステレオタイプな主婦を演じているのには少々違和感を感じましたが、ラストに浮かべるこの表情はとても愛おしくなります。

 

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家族にトラウマを抱えた排他的な刑事グラハムを演じるドン・チードル
(『ホテル・ルワンダ』『オーシャンズ11~13』『アイアンマン2~3』等)

シニカルな彼の演技がその孤独さを更に際立たせ、鬱屈した母親への苦悩が滲み出るこのシーンには本当に胸が締めつけられます。

 

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父親の看病に疲労を募らせるレイシズムの警察官ライアンを演じるマッド・ディロン
(『アウトサイダー』『ランブル・フィッシュ』『ドラッグストア・カウボーイ』等)

偏った白人至上主義のトランプ信者を彷彿させる様なキャラクター設定で、わかりやすいバッドコップっぽいんですが、表紙通り、一番おいしいトコロを持っていきます。

 

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自尊心が低く事なかれ主義のTVディレクターキャメロンを演じるテレンス・ハワード
(『Ray/レイ』『アイアンマン』『Empire 成功の代償』等)

FOXドラマ『Empire 成功の代償』で主演の座を掴みよく目にするようになった彼ですが、この作品においてはそのナイーヴでセンシティブな表情が心に深く染み入ります。
・・私的には一番感情移入しやすいキャラクターかも。。 

他にもリュダクリス演じるラップ嫌いの黒人青年アンソニーや、ショーン・トーブ演じる被害妄想なペルシャ系移民の小売店主ファハド等、ストレスフルでどこか憎めないキャラクター達が物語を彩っています。(伝説のABCドラマ『LOST』のジン役で有名になった ダニエル・デイ・キムもちょっとだけ出演していたり・・)

が、著者が一番印象的だったのは、やっぱりこのヒト。 。

 

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・・ゴメンナサイ、王道で。。。

メキシコ系鍵職人ダニエルを演じるマイケル・ペーニャがスゴすぎる。。。

見たヒトはわかると思いますが、もう彼、このシーンしか思い出せないほどの強烈なインパクト。

芝居が上手いというよりは、愛くるしい彼の娘役の少女とその実直なキャラクターに助けられた感は否めませんが、ヒスパニック系アメリカ移民の更に労働者階級の切ない性が絶妙にはまり、万人に共感が持てる最高の演技でした。

 

 

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 差別の原点を読み解く

正直外国に住んだ事がないヒトには、イマイチわかりにくい作品かもしれません。

物語の軸にあるの偏見と差別

けれどそれを大きな事件や社会風刺的に扱うのではなく、誰しもが必ず持っているちっぽけな優越感と些細な猜疑心に寄り添って、丁寧に描いているのがこの作品の素晴らしいトコロ。

人種差別や迫害、虐殺等の大きなテーマを扱う作品と比べると、問題定義自体のスケールは小さいですが、逆にそういったモノの原点にあるのはこの物語の軸である『ちょっとした不安』の連鎖なんじゃないかと。。

 

人種、性別、言語に対する差別は、結局根強くヒトの心の奥に潜んでいます。

日本人でも学歴、出身地、家庭環境等の差別を受けたヒトは少なくないはず。

 

それぞれが抱える様々な憤り

憂鬱な現代社会で、 もっとあの時、あのヒトにちゃんと気付いてあげられていたら・・

もっとそばに寄り添えていたら・・・なんて。

ほんのちょっとした優しさが、ヒトの命を救い、
ほんのちょっとした怯えが、そのヒトの人生を狂わせてしまう事も。。。

 

些細な誤解から、取り返しのつかないコトになったりした事は貴方にはありませんか?

 

劇中の負の連鎖が巻き起こす悲劇には、本当にゾクッとします

同時にその悲劇さえも乗り越えられる人間本来の優しさを感じた時、僕はキャッチコピーどおりまんまと魂が揺さぶられました

 

なんか教訓じみてしまいましたが、この映画を見終わった後、貴方が今までよりほんの少しでもヒトに優しくなれたらちょっと嬉しいかも。。

舞台はクリスマス前のLAらしいので、寒い日にカップルで見るには丁度いい映画な気もします。

 

『クラッシュ』
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