マリブのブログ

ニ匹ののら猫と一緒に随時三匹の飼い主を募集中の元帰国子女。。オススメの映画やドラマの感想を徒然に紹介しています。

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映画『タイタニック』の私的な感想―志高のラブストーリーに隠された逸話―

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Titanic/1997(アメリカ)/194分
監督/脚本:ジェームズ・キャメロン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビル・パクストン、グロリア・スチュアート

 珠玉の名作ラブストーリー

不沈のこの名作映画が世に生まれて20年以上。

ノルウェー生まれのシセルが、漂う様にハミングするこの音色が聴こえてくるだけで、世界中の多くの人たちはその深く沈む海の底に思いを馳せられるだろう。


撮影当時、若干22歳と21歳だったレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの両名が、この作品での名演を境に一気にスターダムにのし上がってきた出世作としても有名だが、『アバター』に抜かれるまで世界映画史上最高額の興行収益を記録した同作品の本当の魅力とはなんだったのか?

 

 

 

 

あらすじ

1912年、イギリスのサウザンプトン港から豪華客船タイタニックが処女航海に出発した。
新天地アメリカに夢を抱く画家志望の青年ジャックは上流階級の娘ローズと運命的な出会いを果たし、二人は互いに惹かれ合う。
そこにはローズの婚約者である資産家キャルや、保守的なローズの母親などの障害が横たわるが、若い二人はそれを超えて強い絆で結ばれていく。しかし、航海半ばの4月14日、タイタニック号は氷山と接触。船は刻一刻とその巨体を冷たい海の中へと沈め始めていた……。

allcinema ONLINEより抜粋

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 深海に馳せる男のロマン

大学を中退し、トラック運転手等をしながら映画製作への情熱を燃やしていた監督のジェームス・キャメロンは、監督という肩書の他に、探検家としての顔を持っている事を皆さんは御存じだろうか?

電気技師と画家の間に生まれた彼は、15歳の時に観た『2001年宇宙の旅』に触発されて16ミリカメラに手を伸ばしたようだが、彼のその夢の先には未知なるものへの強い憧れが伺えてくる。

自身の出世作でもある『ターミネーター』にもその影響は強く踏襲されているが、彼がこの作品で思いを馳せたのは深海へのロマン

その夢は尽きることなく、2012年には深さ11.000メートル以上にもなるマリアナ海溝最深部への単独潜水を成功させ、これは世界でも彼を含め、たった4人しか実現させていない程の偉業でもある。

 

プライベートでは数多の女性との結婚歴を繰り返してきた彼は、『デトロイト』のじゃじゃ馬監督等でも知られるキャサリン・ビクローにはあっさりと愛想を尽かされてしまったようだが、それでも少年心を貫く彼の飽くなき探求心が、100年以上も昔の実際に起きた海難事故を、夢を織り交ぜながら現代の世に蘇らせてくれた事にはまったく頭が下がる。

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 本物の質感に拘った製作陣の勇気

同監督の代表作は、昨今『アバター』等のCG技術を駆使した作品のおかげですっかりそちら側の監督のイメージが定着してしまったが、タイタニックの撮影当時には深い映像に対する思い入れがあった。

彼は2017年のThe Hollywood Reporterの記者に宛てた手紙に対し、

「その当時は、私はもう二度と仕事ができないと確信していたぐらいだ」

と述べている様に、この作品に費やされた予算は殆ど常軌を逸している。

2ヶ月もの製作スケジュールの遅れを補填する為、当時のレートで2億ドル(240億円)もの巨額の製作費がつぎ込まれていた総予算も、メキシコのバハに造られた程なく原寸大に近い大きさで建造されたタイタニック号のレプリカ費用のおかげで、彼は大分追い込まれていたようだ。

公開当時、夏に上映予定だったこの作品のプレミアも、年の瀬を迎える12月まで延期され、監督の言葉通り、異例の興行成績を収めなければ彼はハリウッドの歴史の闇に消えていただろう。

 

そして更に配給に名乗りを上げていたユニバーサルにも見限られ、正に窮地に陥っていた同監督に逆風が吹く。

彼のプロットに可能性を感じ取ったパラマウントのシェリー・ランシングが新たなパートナーとなり撮影は継続され、その脚本に対する情熱から、遅延がいくら続いてもスケジュールに一切の妥協を許さない剛腕ぶりで、人物のショットには極力視覚効果で誤魔化さない本物の質感に拘った撮影でのキャメロンの荒業を手助けした。

彼女の卓越した審美眼に狂いはなく、当時叩かれまくっていたアメリカ市場でのマスコミを回避した上で、この映画は国外での宣伝キャンペーンを展開。

その世界初となる外国での試写会に選んだ東京の地で、クラシカルで扇情的な作風を好む日本人の心をがっつり抑え、それまで否定的だったアメリカメディアを黙らせた。

シェリー・ランシングは後に女性初のハリウッドスタジオの社長に就任した事でも有名になったが、つまりこの映画の製作自体が監督も含めた彼らの大博打でもあったわけだ。

そんな彼女たちが、自身のキャリアを投げうってでも求めたこの作品への愛情とは何だったのだろうか?

 

 

 

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 実在したエピソード (※以下、ネタバレあり)

圧倒的な美男美女の悲哀に満ちたラブストーリーにどうしても目がいってしまうこの作品は、実は様々な史実をベースにしている。

その代表格でもある“碧洋のハート”の逸話は、同客船に乗り合わせていた19歳のケイト・フロレンス・フィリップスの実在のエピソード

彼女は20歳も年の離れた男性ヘンリーとの不倫の末に駆け落ちを決意する。

ヘンリーはその二人の約束の証に、彼女にサファイアのペンダントをプレゼントしアメリカでの新生活に夢を馳せるが、船はあえなく座礁。

ケイトだけはなんとか助かるが、ヘンリーは劇中のジャックの顛末と全く同じ様に、北大西洋ニューファンドランド沖の深淵に今も眠っている。

そんな彼女がヘンリーの子を身籠っていた事実から、この二人をモデルにした壮大なスケールのピカレスクが幕を開けるのだが、私的に最も忘れられないのは彼らと時を同じくしてタイタニック号に乗り合わせていた老夫婦のエピソード。

アメリカでも有名な百貨店メーシーズ(Macy's)の経営権を持っていたストラウス夫婦の逸話は、監督の綿密な調査の元映画にそのまま引用されたが、この究極の男女の添い遂げ方を描いた名シーンが長尺の作品の性質上、メイキング映像にしか残されずに大幅にカットされてしまったのは、あまりにもったいない。。

更には沈没する船から降りる事なく乗客に説法を唱え続けた牧師、慢心から沈没を予期できなかった船長が船と共に沈む描写、そして沈没する最後の瞬間まで演奏を続けていた楽団たちの逸話等、挙げたらきりがない程の詩情を誘うストーリーが幾つも盛り込まれているが、その全てを網羅する事より、監督が誰しもが一度は夢見る幻想的な純愛にピンスポットを当ててきた事が、何よりの英断だろう。

つまり194分にも及ぶ物語の中で語り尽くせなかった真実は、その解釈を深く掘り下げていく事により、20世紀最大の海難事故に遭遇してしまった1,513人にも及ぶ犠牲者への墓標には成り得ないだろうか?

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 女が秘める夢と魔力

長々と引っ張ってしまったが、作中の現在と過去のフィードバックの演出で監督が作品に貫いていたのは、つまり万人の女が秘めている魔力だ。

 

よく女性は海に例えられるが、私的にはこれは全くぴったりな気がしている。

穏やかな寝心地の良い音色を刻んでくれる波打ち際。
全てを包み込んでくれるかの様な圧倒的な抱擁力。
しかし、一変して荒波を立て漂う小舟に猛威を振るう様子は、深海に秘めた謎を解き明かそうとする男たちへの、気まぐれの象徴の様な気がしてきてしまう。

 

それでもそんな一見理不尽な衝動にもとれる情動には、深海に潜む真実の様な奥深い謎が必ず付き纏い、男はその神秘のベールに包まれた何かを暴かずにはいられなくなってしまう。。

 

そんな普遍的な人の価値観を見事にタイタニックの惨事に絡め、そんな中でも夢を抱き続ける女性、その彼女達が求める究極の純愛、更には歴史の影に隠れていた詩情溢れる逸話まで盛り込んでいてしまえば、これは文句の付けようのない名作として映画史に刻みこまれていくだろう。

そして前述した海の神秘に例えられた女の持つ謎に引き寄せられる男もまた、この映画のジャックを通じて夢想に耽る事ができる。

 

映画の冒頭では、現実的な見解で船の沈没の軌跡を辿るサルベージクルーの様子が描かれているが、それに相対する齢100歳を超える現在のローズに今尚、静謐でありながらもミステリアスな魅力が漂っているのはその為だ。

 

つまり、この作品が歴史に名を残す名作に成り得たのは、キャメロンが追い求め続ける本物の幻想を製作側が勇気を持ってしっかり受け止めたが故に、時を超えた数多の事故犠牲者達の魂が起こした、もはや奇跡なのかもしれない。

 

 

 

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 カルネアデスの板

映画の感動が思い起こされ、締めくくり方さえよく分からなくなってしまったが、、

 

様々な名シーンの生まれたこの映画の中でも、世界中の観客が物思いに耽ってしまったのは、ラストの顛末だろう。

最後に凍りつく大海原へ投げ出されたジャックとローズが辿り着く板のエピソードには、実はこんなモチーフの逸話がある。

カルネアデスの板
古代ギリシアの哲学者、カルネアデスが出したといわれる問題。

舞台は紀元前2世紀のギリシア。一隻の船が難破し、乗組員は全員海に投げ出された。一人の男が命からがら、壊れた船の板切れにすがりついた。するとそこへもう一人、同じ板につかまろうとする者が現れた。しかし、二人がつかまれば板そのものが沈んでしまうと考えた男は、後から来た者を突き飛ばして水死させてしまった。その後、救助された男は殺人の罪で裁判にかけられたが、罪に問われなかった。

wikipediaより抜粋

 

松本清張の法廷ミステリーにも引用されているこの物語は、緊急避難の一例として、現代の日本の法律でもしばしば持ち出される寓話だが、ここに心情を入れて読み解いていくと、自分はその情景を鑑みてしまう。

 

つまり、法律上それが罪に問われなかったとしても、人はそこに贖罪の意識を抱え込んでしまわないだろうか?

ましてや、その相手が一時だけでも愛し抜いたヒトなら尚更。。

 

キャメロンがこの話をどこまで意識してプロットを書いていったのかは分からないが、その相手が永遠に変わる事のない信念を持っていてくれていたとすれば、その死はきっと報われた犠牲と言えるだろう。

 

セリーヌ・ディオンの代表曲『My Heart Will Go On』は、そんなローズの意思そのものを代弁したこの映画の主題歌。

彼女が自分の為に深い海の底に沈んでいったジャックへの思いを胸に秘め、彼の死を悲しむのではなく、十二分にその人生を謳歌してくれたらどれだけ嬉しかっただろう。。。

そんな事を考えながら見ていくと、ラストのローズの部屋に飾られたそれまでの彼女の写真を追うカメラワークでは、自分の様に嗚咽を漏らしながら泣き出してしまいそうになるので、親愛なるパートナーと見る際には十分に注意しながら見てもらいたい。

 

「タイタニック」
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