背筋が凍りつくシンプルに怖い極上スリラー
いつの間にかすっかり夏本番。
今年の夏は、スリラー映画でも見て少し涼しくなってみませんか?
ホラーやサスペンスと混同されがちなスリラー映画は、私的には最も観てきたジャンルかもしれない。。
何故かって?
そりゃ、単純にコワイからですよ・・
ホラーだとグロ過ぎるし、サスペンスだとなんかアタマ使うし・・
疲れた日に、シンプルで手っ取り早いスリルで、メンドクサイ現実を忘れさせてくれるのが、スリラー映画の醍醐味。。
そんな中でも今回厳選して選んでみたのは、、
謎解きよりも緊張感がメインで、超常現象やSFモンスターが登場しないリアルなスリラー映画。
更に、殿堂スリラー映画の大御所ヒッチコックにならい、シナリオ的にもバッドエンドな展開の作品をあえて選んでみました。
特に後半の5作品は、一人での鑑賞はあんまりススメられない究極の鬱映画なので、信用できるパートナーと一緒の時に是非どうぞ。。
- 背筋が凍りつくシンプルに怖い極上スリラー
- ❿『ストレンジャー・コール』(2006)アメリカ/87分
- ❾『アローン』(2016)アメリカ/イタリア/スペイン/106分
- ❽『オープン・ウォーター』(2004)アメリカ/79分
- ❼『リミット』(2010)スペイン/94分
- ❻『ソウ』(2004)アメリカ/オーストラリア/103分
- ❺『ザ・ギフト』(2016)アメリカ/オーストラリア/108分
- ❹『ザ・バニシング-消失-』(1988)オランダ/フランス/106分
- ❸『冷たい熱帯魚』(2010)日本/146分
- ❷『セブン』(1995)アメリカ/127分
- ❶『マーターズ』(2008)フランス/カナダ/100分
❿『ストレンジャー・コール』(2006)アメリカ/87分
ホーム・インベージョン・スリラーの決定版
ホーム・インベージョンものの定番は、やっぱりこうじゃなきゃ!
シンプルだけど、目が釘付けになる良質なスリラーと言えそう。
『夕暮れにベルが鳴る』という79年に製作された映画のリメイク版のこの作品は、主人公のカミーラ・ベルの怯えた顔が、まさにスリラー映画のテッパンの様にあまりに可愛すぎるので、男性の方はまずはご注意をw
ストーリーは、謎の侵入者に脅かされる王道の流れとは言えるものの、屋内の不気味なオブジェや装飾物、アイス棒一本に至るまで、緻密なカメラワークと計算されつくしたアングルで攻めてくるので、その恐怖の効果は倍増する。
・・私的には、彼女がベビーシッターでやってくる家のセンスが抜群に良く、ミステリーそっちのけで、すっかり目を奪われてしまったけど・・
『ストレンジャー・コール』は
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❾『アローン』(2016)アメリカ/イタリア/スペイン/106分
地雷を踏んだ男の見る白昼夢
・・この映画だけは、ハッピーエンドとも言えなくもないけど。。
地雷を踏んだ男のワン・シチュエーション・スリラーというジャンルは、ありそうでなかった中々の秀作。
殆ど同じ設定での『トラップ』というフランス版の映画もあるが、ちょっと自分を見つめ直してみたい方になんかは、こちらの映画の方がオススメ。
砂漠で特殊任務に就く男の垣間見る白昼夢が中心に描かれれているが、その緊張感と絶望感はかなり凄まじい。
気温差や動物、更には言葉の通じない異国の人間との72時間にも及ぶ壮絶で孤独な戦いの末、男が辿り着く場所は・・
中盤からは異様なイリュージョン展開もあるが、臆病な恋心を女性に秘めている男性陣にはちょっとおススメの作品でもある。
ベビーフェイスなアーミー・ハマーが陥る兵士の極限状態の演技は、中々のギャップ萌えかも。。
『アローン』は
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❽『オープン・ウォーター』(2004)アメリカ/79分
実話を基にした衝撃の海洋スリラー
ファンダイブ中に起こった実際の海難事故をモデルにしたシュールなスリラー。
大味な続編やバッタものに騙されず、まずはこの原点の作品を観てみて欲しい。
俳優の演技もかなりリアルで、大海原に取り残された二人だけの孤独感や悲壮感が、時間をかけてゆっくりと伝わってくる・・
1300万円という超低予算映画ながら、水中カメラや空撮映像等も織り交ぜ、静かに広がる水平線の優美さとの対照的な恐怖には、ため息が零れてしまいそう。
カルネアデスの板に代表される、恋人との究極の選択を迫られた時の心構えを持つ為にも、見ておいて損はない傑作。
『オープン・ウォーター』は
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❼『リミット』(2010)スペイン/94分
息の詰まるシチュエーション・スリラーの王道
絶望感だけに焦点を当てた映画としては、この上をいく作品はない。
わけもわからず地中に埋められた男の緊張感と焦りが、画面から痛い程伝わる・・
棺に閉じ込められている男という設定上、カット割りはかなり制限されているはずなのに、90分間飽きさせない絶妙なカメラアングルが臨場感を極限まで高めてくる。
携帯越しの救助班との会話には、少しミステリーが潜められているが、彼らが男にかける言葉の真の意味を理解してしまうと、もう絶句としか言い様がない?
『リミット』は
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❻『ソウ』(2004)アメリカ/オーストラリア/103分
迫られる究極のサバイバルゲーム
言わずと知れたスリラー映画の代名詞。
監禁状態に置かれた人間達の究極のデスゲームを描くこの『ソウ』シリーズの原点は、ミステリー要素がちょっと強いが、サイコ・スリラーの新しいページを作った作品と言っても過言ではない。
続編のあまりに過激な拷問描写から、ブラッドスプラッター系の映画の様に誤解されているが、元々の“SAW”の意味は、“のこぎり”と“見る”の過去形と主人公のサイコパス・ジグゾウ(Jigsaw)とをかけた、ちょっとオシャレでトリッキーなソリッド・シチュエーション・スリラー。
緻密に計算され尽くした脚本にはちょっと唸ってしまうが、目の粗い監視映像やストロボ効果での不気味な恐怖映像等、後のシチュエーション・スリラーの手本となった描写も多い。
・・不倫中の方には、ちょっと考えさせられてしまうようなシチュエーションも・・
『ソウ』は
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❺『ザ・ギフト』(2016)アメリカ/オーストラリア/108分
置き去りにされた過去の記憶・・
ここから先の作品は、ただのスリルだけでなく鬱要素も入ってくるのでご注意を。
劇中に出てくるゴードン役のジョエル・エドガートンが、監督と脚本まで務めたこの映画は、全ての観客の気分を害する事だろう。
パッケージだけ見ると、リベンジものかインベーションもののように思われがちなこのスリラーを盛り上げる最大のポイントは、過去の記憶。
学生時代にトラウマを背負った男の計画する復讐劇は、想像の斜め上を行く展開で締めくくられる。。
そのおぞましさとあまりの倒錯具合には、きっと言葉に詰まってしまうだろう。
・・この映画をカップルで見る際には、そのパートナーの過去もある程度しっかり把握しておかないと、他人事では済まないかも・・・?
『ザ・ギフト』は
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❹『ザ・バニシング-消失-』(1988)オランダ/フランス/106分
サイコパスの心理を紐解く異色作
サイコ・サスペンス史上No.1の傑作と謳われたこの映画は、私的には謎の部分よりも、恐怖の方がずば抜けて高い。
一般社会の決め事に、なんとなく反抗してしまいたくなる傾向がある時は、鑑賞前に十二分に御注意を。。
❸『冷たい熱帯魚』(2010)日本/146分
和製スリラーの代表作。悪魔に魅せられていく家族
この映画だけは、もはやホラー映画としてジャンル分けしたいくらい。。
日本を代表する鬼才監督園子温は、どこにでもある普通の家庭の日常が、徐々に悪魔の心を持った夫婦によって、狂わされていく様子をじっくりと描いた。
劇中の究極のサイコパス村田を演じるでんでんは、この役で苦節31年目にして初の日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞の座を手にしたが、個人的には圧巻の狂乱ぶりを披露してくれた黒沢あすかにも注目してもらいたい。
人間の身勝手さが招いた悲劇の顛末を描くこの映画の中で、彼女が演じる役は村田の妻、愛子だが、その迫真の冷情性を極めた女の演技は、思い出すだけでも震えが止まらなくなる程。。
園子温作品らしく、並みのホラー映画よりはるかに大量の血しぶきが飛び交うが、目を覆いたくなるようなスプラッター描写よりも、この映画が93年に実際に起きた埼玉愛犬家連続殺人事件をモデルに作られている事を、頭の片隅に留めておいてもらいたい。
『冷たい熱帯魚』は
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❷『セブン』(1995)アメリカ/127分
サスペンス・スリラー界の金字塔を築いた超問題作
強いコントラストの映像が印象的な、スリラー映画史上最悪のバッドエンディングを迎える超問題作のスリラー映画。
タワレコ定員だった脚本家のアンドリュー・ウォーカーが無関心な世の中を憂う憤りと、撮影当時『エイリアン3』で酷評を受けていた監督のデヴィッド・フィンチャーの憂鬱とが、化学反応を起こした奇跡の傑作とも言える。
嫉妬(ENVY)、高慢(PRIDE)、怠惰(SLOTH)、憤怒(WRATH)、強欲(GREED)、肉欲(LUST)、大食(GLUTTONY)というキリスト教義上で人間を悪に走らせる根源的な欲求を題材に、その七つの大罪をなぞる猟奇連続殺人事件の果てに、空しく崩れ去る社会秩序の有様を描く。
ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン、グウィネス・パルトロー、R・リー・アーメイ、ケヴィン・スペイシーとキャストも大変豪華だが、事件の傍観者となったサマセット刑事役に、アル・パチーノにもオファーが出ていた事はあまり知られていない。
『セブン』は
TSUTAYA TV、U-NEXT、dTV、ビデオマーケット、hulu、Netflix、Amazon Prime(無料)で鑑賞できます。
❶『マーターズ』(2008)フランス/カナダ/100分
死生観を追求する究極のマスター・オブ・スリラー
史上最凶の問題作と謳われたパスカル・ロジェ版のフレンチ・スリラー。
後にハリウッドリメイクされた作品がかわいく思えてしまうほど、徹底的に残酷な拷問シーンが躊躇なく描かれている。
背筋が凍りつくどころか、寝苦しい夜を更に寝苦しくする事請け合いだが、映画の最後に残された究極の真実に辿り着いてしまうと、死生観さえもひっくり返されてしまうかも・・?
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