マリブのブログ

ニ匹ののら猫と一緒に随時三匹の飼い主を募集中の元帰国子女。。オススメの映画やドラマの感想を徒然に紹介しています。

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映画『ボーダーライン』の私的な感想―無法地帯の現実と心の境界線―

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Sicario/2015(アメリカ)/121分
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、ダニエル・カルーヤ、ジョン・バーンサル

 画になる俳優陣の存在感

監督がヴィルヌーヴからイタリア人監督のステファノ・ソッリマにバトンタッチされ、続編が公開となった『ボーダーライン ソルジャーズ・デイ』の評判があまり良くない中、改めて本家の作品を見返して見た。

 

圧倒的にシュールな質感の中でも、 エミリー・ブラントとベニチオ・デル・トロの存在感は一際抜きん出ている。

デルトロと言えば著者が強烈なイメージを持ったのが、実在したキューバの革命家を演じた『チェ 28歳の革命 / 39歳 別れの手紙』の情熱的な芝居だが、この作品での彼は全くと言っていい程、感情がない。

その佇まいは正しく原題のSicario(暗殺者)そのもので、瞳の奥の瞳孔一つ動かない。

対するエミリー・ブラントは、昨今では『クワイエット・プレイス』等での逞しい母親像が記憶に新しいが、こちらもその作品の役柄とは打って変わって全くの弱い女を演じ切っている。

 

つまりこのふたりは、語らずともそこに存在するだけで画になる俳優なわけだ。

 

そこにコーエン兄弟の『ノーカントリー』等で名脇役の重厚感を見せたジョシュ・ブローリン、『ゲット・アウト』でアカデミー賞を手にしたダニエル・カルーヤ、更に『ウォーキング・デッド』のシェーン役でお馴染みのジョン・バーンサルと玄人好みの役者が揃えばもう千人力。

 

本作の公開にあたっては、その舞台となったメキシコのシウダー・フアレス市の市長が市民にボイコットを促す迄の騒動に発展したが、その市長自らが、

『ボーダーライン』における暴力事件の描写は正確だが、すでに過去の物である。

なんて言いきってしまったもんだから、その恐ろしい無法地帯と化していたメキシコの現実が否応なく目に焼き付いてくる。

 

 

 

あらすじ
巨悪化するメキシコ麻薬カルテルを殲滅すべく、特別部隊にリクルートされたエリートFBI捜査官ケイト(エミリー・ブラント)。特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)に召集され、謎のコロンビア人(ベニチオ・デル・トロ)と共に国境付近を拠点とする麻薬組織・ソノラカルテルを撲滅させる極秘任務に就く。仲間の動きさえも把握できない常軌を逸した極秘任務、人が簡単に命を落とす現場に直面したケイトは、善悪の境界が分からなくなってゆく。麻薬カルテルを捕えるためにどこまで踏み込めばいいのか?法無き世界で悪を征する合法的な手段はあるのだろうか?得体の知れない悪を前に、知れば知るほど深くなる闇の行く末とは―
Filmarksより抜粋

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 突き詰めた緊張感の中崩壊する正義

このクライムサスペンスが他の作品より一際異彩を放つのはまずはその重厚感

前述した画になる俳優陣に必要以上の台詞を一切盛り込まず、静かでありながら、警察が警察さえも信用できないという疑心暗鬼を煽る演出で劇中は終始緊張感に満ち溢れている。

120分にも及ぶそんな張り詰めた空気の中で描かれていく麻薬カルテルとの死闘が、それでも意外にすんなり見れてしまうのは、その視点人物であるFBI捜査官・ケイトの目線にある。

彼女はそんな重苦しい雰囲気の中でも必死に自我を求めるが、麻薬の温床地帯の中ではそれは全くの無力。。

そんな彼女の戸惑いが、国境沿いのメキシコに今尚蔓延る厭世観にもぴったりマッチし、その実態を知らない観客の目線にも完全にリンク。

クライムものにありがちな専門用語も少なく、ただ巻き込まれる様に異質な世界で右往左往する彼女の目線は視聴者の迷いそのものだ。

更に彼女が禁煙中にも関わらず、つい貰いタバコに手を出してしまうその疲労感も大分ニヒルだが、デルトロ演じる元検事のアレハンドロの漆黒はその遥か上をいく闇深さ

 

つまり彼女は不正を暴くといった様なお決まりの優等生キャラの警官の様で、徐々に彼らが抱える真の闇の中に飲み込まれていってしまうわけだ。

 

そんな幾重にも連なる澱みは、対比的に映し出される一見のどかなメキシコの家族の風景の描写によってその深みを更に増していく。。

日常的な家族の食事シーンにも、子供が健気にサッカーの試合を見に来るよう父親にせがむシーンにも、彼らのその真横に常にがある。

 

それはまるで普段の光景の中に溶け込み切っている暴力に、彼らの感覚が完全に麻痺しているかのように・・

 

監督のドゥニ・ヴィルヌーヴの問題定義はココが上手い。

彼が描くセンシティブでノワールな世界の中には、必ず現実がある。 

 

邦題の『ボーダーライン』とは、言うなればそんな日常と非日常の境い目でもあり、主人公のケイトがそれまで妄執していた道徳的価値観がいつの間にか一線を越えざるを得なくなってしまう心の葛藤だ。

 

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