マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

映画『プライベート・ライアン』の私的な感想―極限状態から見出す本当の愛国心―

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Saving Private Ryan/1998(アメリカ)/170分
監督:スティーヴン・スピルバーグ
主演: トム・ハンクス/エドワード・バーンズ、ヴィン・ディーゼル、ジェレミー・デイビス、マット・デイモン

 史上最も愛国心に満ちた戦争映画 

・・この時期になると、毎年この映画の事を思い出します。

王道中の王道戦争映画ですが、一度は誰もが見るべき戦争の現実。

アメリカエンターテインメント・ウィークリー誌が史上最も愛国的なアメリカ映画ベスト1として選んだこの映画を、独立記念日を過ぎたあたりにちょっと振り返ってみてはどうでしょうか?

 

『ハートロッカー』『ローンサバイバー』等の近代ハイテク兵器を駆使した戦争映画では、中東問題に疎い日本人にはどうしても他人ごとの様に感じられがちです。

その点この映画が凄いのは、冒頭から23分間も続くリアルな銃撃戦で視聴者を否応なく、第二次世界大戦の戦火の中に引きずり込んでしまうトコロ。

 

戦争映画に野暮なストーリーはいりません。

その劣悪な環境下で生きのびようとする人間自体が、もう完全にドラマなので。

 

スピルバーグ作品にしては珍しく、大分目をそむけたくなる過激な描写もこの映画にはしっかり含まれていますが、ゲームやMarbel系映画でどこか無機質な感覚で戦争をとらえてしまっている自分たちには、改めて凄まじい衝撃を感じられるかも。

CGやVRの世界では体験する事の出来ない、生々しい臨場感と血の通った人間たちの振れ合いがこの作品にはあります。

    

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―――第二次世界大戦後期、アメリカ軍はドイツ軍の必死の猛攻にさらされながらもフランス・コタンタン半島のオマハ・ビーチへの上陸に成功。
トムハンクス演じるミラー大尉たちも、命からがらなんとかこのDデイ(ノルマンディー上陸作戦)を乗り切ったが、そこで彼らを待ち受けていたのは上官からのとある指令。
それは4兄弟の内、3人までが戦死した空挺部隊の二等兵・ライアンを母親の為、前線から見つけ出し本国へ送還するという作戦。
上層部の戦意高揚を狙った宣伝作戦に辟易しながらも、ミラー大尉は6名の精鋭と新兵の通訳・アパムを引き連れ、この前代未聞の救出任務に身を投じていく。

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 徹底的なリアルさの追求 

この映画を見る上で、まずどうしても知っておきたいのは歴史上名高いノルマンディー上陸作戦

ノルマンディー上陸作戦とは

ノルマンディー上陸作戦(ノルマンディーじょうりくさくせん、Invasion of Normandy)は、第二次世界大戦中の1944年6月6日に連合軍によって行われたドイツ占領下の北西ヨーロッパへの侵攻作戦。正式作戦名「ネプチューン作戦」(英語: Operation Neptune)。

最終的に200万人近い兵員がドーバー海峡を渡ってフランス・コタンタン半島のノルマンディー海岸に上陸した。2018年現在に至るまで歴史上最大規模の上陸作戦である。

本作戦は夜間の落下傘部隊の降下から始まり、続いて上陸予定地への空襲と艦砲射撃、早朝からの上陸用舟艇による敵前上陸が行われた。上陸作戦に続くノルマンディー地方の制圧にはドイツ軍の必死の抵抗により2ヶ月以上要した。

ノルマンディー上陸はヨーロッパ戦線の転機となった作戦であり、第二次世界大戦中最もよく知られた戦いの一つでもある。本作戦で用いられた用語「D-デイ」は作戦決行日を表し、現在では主に作戦開始当日の1944年6月6日について使われる。


wikipediaより抜粋


つまりこの戦闘自体が第二次世界大戦を語る上での最大規模の西部戦線の様子で、これを知るだけでも戦争の恐怖を改めて痛感する事が出来ます。

更にその緊張感を余すところなく伝えるのがその演出技法。

カット割りを極力抑えた長回しの手持ちカメラでの映像は、レンズに血しぶきが飛び散る程の臨場感のある激戦風景を際立たせ、海岸に連なる死体、血に染まった赤い波等、そのリアルすぎる映像も見事。

中でもこの映画が最も観客に強いインパクトを与えるのが、操演と効果音

CGは極力抑え、俳優たちの回りで実際に夥しい数のエキストラに人体弾着を施し、その銃撃シーンの迫力はリアルさを通り越してもはや恐怖感そのもの。

劇中に飛び交う銃火器の効果音は、撮影地にもなった実際のアイルランド陸軍による本物の機関銃音を録音し、250名にも及ぶ統率の取れた本物の兵士たちが悲惨な戦争の実態と、その生々しい緊迫感を視聴者に伝えてきます。

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 愛国心とは 

圧倒的にリアルな映像描写もさることながら、この映画が第二次世界大戦を題材とした映画としては歴代最高記録の興行成績を上げたもう一つの理由は、戦場での人間模様

それまで勝者の側からしか語られなかった戦争の歴史において、どうしても偏りがちな正義感や愛国心を煽りたてる一方的なシュプレヒコールはこの映画には一切なく、そこにいるのは戸惑いを隠し切れずに一喜一憂している等身大の男たちです。

この作品でスクリーンデビューを飾ったヴィン・ディーゼル演じるカパーゾは、トップアクションスターとなった今では考えられない程の劇中最も人間味溢れる好青年を熱演。

 

そんな彼から託される父親への手紙は、何人もの仲間に受け継がれていっても必ず赤く血に染まっていく・・

 

あからさまな戦争批判や英雄賛美もなく、ただこの悲壮感だけを粛々と伝え続けるスピルバーグの演出も、観客の心にストレートに響きます。

 

彼らはまるで『スタンド・バイ・ミー』に出てきた少年たちの様に、同じ時を過ごす中でお互いの何かを肌でふれあい、絆を深めていく。

 

ジェレミー・デイビス演じる新米の通訳・アパム伍長が哲学者ラルフ・エマーソンの言葉を引用してミラーに語りかける台詞、

「戦争は人の感覚を磨き、意思を刺激し、肉体を鍛え上げ、極限状態で互いを人間として見極めることが出来る。」

この机上の戦争賛美が、虚しくも、劇中の兵隊たちに見事にリンクしてしまう事にも悲哀が満ち溢れます。

誰の為の何の任務か彼らは答えを見つけられないまま戦火の中に身を投じ、そして散ってゆく。。

このアイロニカルな悲劇の中で、彼らが思う本当の祖国愛とは何なのか?

 

そんな極限状態を強いられた人間たちの本能と究極の目標をしっかり追体験させられた上で、今一度生きる意味そのものを考えさせられる名作です。
 

「プライベート・ライアン」
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