Fear the Walking Dead Season4 Episode3/2018~(アメリカ)
製作総指揮 :ロバート・カークマン/脚本:シンタロウ・シモサワ
出演:レニー・ジェームズ、マギー・グレイス、ギャレット・ディラハント、フランク・ディレイン、アリシア・デブナム=ケアリー、キム・ディケンズ他
日本人が描く『フィアー・ザ・ウォーキングデッド』
今回のシーズンはちょっと脚本家に注目してみてるんですが、この3話のエピソードを書いてるのが日本人の方だというのを皆さんはご存知でしたか?
シモサワ・シンタロウさんというプロデューサーも熟されている方が書いてるんですが、彼はこの他にも『ザ・フォロイング』や『クリミナル・マインド』等も手掛けている新進気鋭の脚本家。
正に自分にとっては憧れの存在でもありますが、大きくトラウマを抱えさせた上にキャラクター変更までしてきた古参メンバーと、無骨なモーガンも含めた新キャラクターとのやり取りには、詩情豊かなアジア人のテイストが多少なりとも注入されている気がしてきます。
直球な会話を控え、台詞ではなく描写で人の内面を見せていく手法で新しく生まれ変わったこのシーズンでは、この先彼らにどんな苦難が待ち受けているのでしょうか?
すっかり逞しくなってきたアリシアやルシアナに比べ、本家の最初の頃のカールの成長を見せられているようなニックの今後が気がかりです。。。
以下、『フィアー・ザ・ウォーキングデッド』シーズン4第3話のネタバレを含んだ上での感想です。
まだご覧になってない方はご注意下さい。
静かな場所
害虫による深刻な農園の危機に苛立ちを募らせるニック。
その焦燥感に満ちた彼の横顔をマディソンが不安げに見つめている。。
拘束したモーガン達を乗せ、ハゲタカの居場所に案内させるアリシア達。
しかし道中でアルがニックの一瞬の隙をつき形勢は逆転。
彼を人質にアルはルシアナに車を止めさせようとするが、動揺から彼女は運転を誤り、装甲車は路肩の林の中へ。
足の傷の癒えないモーガンと人質のニックだけを残し、けん引できるトラックを探しに街へと向かうアル達。
やがておしゃべりを止めないニックにモーガンは彼の拘束を解くが、彼の卓越した棒術の前にニックは手も足も出ず。。
トレーニングを始めるモーガンの目を盗み、アルのビデオカメラで彼のインタビュー映像を盗み見始めるニック。
すると見覚えのあるハゲタカたちの車が彼らの前を通り過ぎる。
制止するモーガンを突き飛ばし、その後を追おうとするニック。
迫りくるウォーカーに、足を怪我しているモーガンは彼を逃がしてしまう。
町までやって来たアル達は、ルシアナの記憶通りけん引車を発見。
ストランドの手の傷に興味を持つアルを訝し気に感じ始めた彼は、自分たちの過去を知りたがる彼女に疑問を投げかけるが、
「真実を知りたいだけよ」
と彼女はストランド達のストーリーと引き換えに、ハゲタカのフラッグを見つけた場所を教えると言う。。
収穫物の減少から外の世界に出る意を決したニックは、母と二人で調達へ。
チャーリーに与えたかった子供本を突き返してくるメルの態度に落胆するニック。
マディソンはそんな成長していく彼に、希望の持ち方を教え始める。
ウォーカーに襲われているニックにようやく追いつくモーガン。
彼はニックを助け出すと、自分が培った人を殺さない精神を伝える。
物資調達の最中、メルの仲間達に出くわしたニックは、彼らの陰湿で狡猾な手口に怒りが込み上げてくる。
そこにやってくるのはニックが気にし続ける少女、チャーリー。
彼女は少々の戸惑いをみせるが、生き残り方を教わった彼らを裏切る事は出来ない。
アル達が路肩に落ちた車迄戻るとそこにモーガン達の姿はなく、車にはウォーカーの群れが。
彼らは二手に別れ、ジョンとルシアナはモーガン達の捜索へ。
アル、アリシア、ストランドは装甲車の引き上げにとりかかる。
モーガンはニックより先にハゲタカの仲間を見つけるが、彼はモーガンの忠告にも耳を貸さず、やがてやってきたニックと決闘へ。
ニックとの事情を察するモーガンはルシアナを気にかけるが、彼女は自分が愛していたから一度離れたが、もう二度と離れないと誓ったと事を伝える。
やがて装甲車組のアル達も再び合流し、一行はニック達の後を追う。
ニックの気迫に押され一度は復讐を黙認しようとしたモーガンだが、思い留まり、
彼らの決闘の場へ舞い戻る。
が、時すでに遅く、ニックはハゲタカの一人を殺害。
モーガンは言葉に詰まるが少し考え、やがてそれまで頑なにしゃべらなかった自身の過去をニックに打ち明ける。
・・それは妻や子、友人たちを失っていった過程で、自分自身も見失っていった事。。
そしてまたそこから友により救われてきた事も・・・
やがてモーガンはイーストマンから受け継いだ「平穏の術」の本をニックに手渡す。
成果を出せなかった調達の帰り道。
道路沿いに咲くブルーボネットの草草を見つけ、殺伐とした世界での喜びの見出し方をニックに伝えるマディソン。
ニックがその本を読み進めているとアル達もやがて合流し、彼が思い出した様に母から教わった希望の象徴のブルーボネットをポケットから取り出したその時、
辺りに木霊する鈍い銃声・・
腰を下ろしていたニックが見上げると、そこには銃口を自分に向けたチャーリーの姿が・・・
胸の銃痕から溢れ出る血を抑え、その場に崩れ落ちていくニック。
チャーリーは怯え切った様子でその場から逃げ出していく。
ニックに縋り付くルシアナ、アリシア、ストランド。
駆けつけたモーガン、ジョン、アル達が何も出来ずその場に立ちすくんでいる中、彼は母と見たあの日のブルーボネットが咲く野原の中で、ゆっくりと目を閉じる・・・
・・マジですか・・・
フィアー史上唯一感情移入出来そうなキャラだったんですが、こうもあっさりと・・
ストーリー構成や台詞回し、回想シーンの入れ方までもがあまりに絶妙だっただけに、悲しみもひとしおです。。
・・やはりこの手の世界では、憎しみの連鎖に巻き込まれた人間はどうしても生き残れないのでしょうか・・・?
クラクションが鳴り響く車やピーナッツバターのプロテインバー、鹿の角で殺される描写にイーストマンとの思い出等々、本家へのオマージュが盛り沢山なエピソードでちょっと不吉な予感がしていましたが、まさかニックを殺してしまうとは・・
即物的な価値観に染まってゆくニック達と、どこか情緒的な言動の多いアル達との対比は、余裕を持てず現実主義的傾向の強い世の中で葛藤し続ける人間らしさの在り方を説いている様で、私的に随分感心していた分、今後の展開にかなり不安が残ります。
「正しいことをしたいのに、外ではそれが出来なくなる」
なんて政治色の強い台詞を、ウォーキングデッドの世界で聴ける日が来るとは・・
もうこうなったらニックを助けられなかったモーガンのトラウマをベースに無情な人の世の中を代弁していって下さい!
ラストシーンの泣き芝居で露骨に新規メンバーとの格の違いが露呈してしまった古参メンバーの過去は、もう一切気にしないことにします!
で、、
結局、ダニエルって生きてるんでしたっけ・・?
シーズン4第4話の感想はコチラ
『フィアー・ザ・ウォーキングデッド』シーズン4は
Amazonプライム(年会費3900円※月換算325円)の会員特典でのみ全16話無料で観れます。