マリブのブログ

ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ

映画『ディープ・インパクト』の私的な感想―地球最後の日に寄り添う人―

Deep-Impact01

Deep Impact/1998(アメリカ)/120分
監督:ミミ・レダー
出演:ロバート・デュヴァル、ティア・レオーニ、イライジャ・ウッド、モーガン・フリーマン他

 他人に不寛容な時代

今日は人類滅亡の日だったらしい。。。

news.infoseek.co.jp

 

・・まあ、他人への想像力を失いつつある現代では、とっくにそんなカウントダウンが始まっているとも言えるけど・・・

 

私的な気持ちを吐き出せば、終末論は突然やってくるものではないと思っている。

新型コロナの感染力やシンギュラリティのように、ある日突然オーバーシュートするのではなく、不安が人の心にゆっくりと浸透していくように、澱みが徐々に蓄積され、自分達でもまったく気づかないうちに、相手を退け自分の身を守ろうとする。

 

自国中心主義の発想は、他人に不寛容な時代を生む。

そしてその先に、本物の滅びがやってくるのなら、それに抗うよりも、どう向き合うのかを考えたい。

 

この映画は、そんなやがて訪れる人類滅亡の日がやって来た時の、人の献身さを改めて教えてくれる。

劇中で、後悔を只管に隠し続けるキャラクターに感情移入してしまいそうな方は、くれぐれも、そんな大事な誰かと是非一緒に、この映画を観てみてほしい。 

 
 

 

 

 

あらすじ
もしも、数日のうちに地球に巨大彗星が衝突し、全人類が絶滅するかもしれないと知ったら、あなたはどうするだろうか? 
“地球は今、身震いするほど恐ろしく、目を見張るほど衝撃的な滅亡へのカウントダウンに入った。”
Filmarksより引用

Deep-Impact02

 終末期の無償の愛

同時期に公開された宇宙モノの映画『アルマゲドン』なんかと比べても、この映画のプロットは頗る温かい

SF大作映画にありがちな、悪意の中でのミスリードや矛盾したヒロイックも殆どなく、巨大隕石の襲来に向けて、人間が自分に何ができるかを問いただす、極めてストレートなヒューマンドラマだ。

 

俳優陣も、『マダム・セクレタリー』でお馴染みのティア・レオーニやまだ若い頃のイライジャ・ウッド、更にモーガン・フリーマンや『ゴッドファーザー』のトム・ヘイゲン事ロバート・デュヴァル等、中々の粒ぞろい。

スピルバーグの愛弟子で、ハリウッド映画初の女流カメラマンでもあるミミ・レダー監督の影響か、後に『アイアンマン』シリーズの監督となるジョン・ファヴローや、『ER緊急救命室』を手掛けたローラ・イネス等、演出家として成功を納めた俳優陣が出演しているのも、とても興味深い。

個人的には、『スリーパーズ』での独特なたれ目顔が印象的だったロン・エルダードが、老年デュヴァルに「白鯨」を読んでもらうシーンで違う視点を持つトコロが一番のお気に入りだけど、この数多に登場してくる地球最後の日を迎えた主要キャラ達のバックボーンが、短いながらも端的に、きちんと説明し尽くされている構成力は、物凄く繊細な作業だっただろう。

 

SFディザスター系の映画は、どうしてもその趣向から、危機回避能力やそのアクション劇にスポットが絞られがちだが、この映画の焦点は、そこにはない。

彼らの身に起こる未曾有の災害には、冷静沈着に場を鎮めようとする大統領でさえ、成すすべは何もないから。。

 

そのヨハネの黙示録のような終末期に、どんな宗教論や自然主義に寄り添わなくても、人は無償の愛に満ち溢れる。。。

 

そんな夢のような自己犠牲の精神に触れた時、排外主義的な声がうねりを上げる中の現代人は、何を感じるんだろうか?
  

 

Deep-Impact03

 “ディープ・インパクト”の影響

・・あまりに主観の強すぎる記事になったので、あえて付け加えると、、

タイトルの“ディープ・インパクト”は、読んで字のごとく“強烈な衝撃”と意訳できるが、このネーミングは後に、史上最強の三冠馬となったあの馬にも、NASAが開発する実在した彗星探査機にも使用された。

後にエポキシとその名称を変えたこの探査機は、2013年8月にその通信が途絶えるまでに、実際のPHA(Potentially Hazardous Asteroid)=潜在的に危険な小惑星の探査にも貢献したが、2020年現在でも地球には、毎年5万トンもの宇宙物質が飛来してきているらしい。

ディープ・インパクトが喪失した同年2月に、ロシア・チェリャビンスク州に落下した隕石のTNT換算は500キロトンと、劇中の5000億トンの彗星とは比べ物にもならないが、実は人類の歴史上において、大気圏落下前に発見された隕石の症例は、たったの2例しかないらしく、太陽光の反射等の別の光源がない限り、それ自体は光らない。

更に恐竜を絶滅させた、ユカタン半島にチクシュルーブ・クレーターを作った小惑星規模ともなると、地球が作る影に入り込む為、その発見自体は必然的に遅れるという。

natgeo.nikkeibp.co.jp


そう考えていくと、劇中のシナリオ通り、政府による発表やその対応策そのものが、連鎖反応的に遅くなっていく事も、極めてリアルに感じられてくるけど・・

 

陰謀論の様に語られる、国家の事前通告を暗喩した刷り込み映画と迄は思いたくないが、この映画を観ると、地球最後の日に誰にどう寄り添うかを改めて考え直したくなる、強烈な衝撃を受けた日の事は、未だに忘れられない。

 

「ディープ・インパクト」
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