マリブのブログ

ニ匹ののら猫と一緒に随時三匹の飼い主を募集中の元帰国子女。。オススメの映画やドラマの感想を徒然に紹介しています。

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映画『メッセージ』の私的な感想―ノンゼロサムの未来―

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Arrival/2016(アメリカ)
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
主演:エイミー・アダムス/ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー

 宇宙映画の概念を覆す秀作

いつか誰かに伝えたかった名作です。

この映画だけは、一人ではなく誰かと見るコトをオススメします。

宇宙モノの映画ですけど主軸は殆ど哲学。

というより、感覚的にはむしろ文学に近いような気もします。

 

『ビッグ・アイズ』でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したエイミー・アダムス、『ハート・ロッカー』でアカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたジェレミー・レナーに加え、『ラストキング・オブ・スコットランド』の怪演で知られたフォレスト・ウィテカーという錚々たる俳優陣に加え、原作はSF・ファンタジー界の最高権威であるネピュラ賞を受賞したテッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」

第89回アカデミー賞の音響編集賞は受賞しましたが、私的にはそんなものじゃ足りないくらい、宇宙映画そのものの世界観をひっくり返される映画です。

 

皆さんはSF宇宙モノ映画だと何を連想しますか?

『未知との遭遇』のような神秘の世界。

『インディペンデンス・デイ』のような侵略者。

『インターステラー』のような多次元世界。

近年では、リドリー・スコット監督が有名な『エイリアン』の前日譚として描いた『プロメテウス』シリーズ等がありますが、この映画には、、

 

その全ての要素が集約されています。

・・と言われてもちょっと、意味が分からないですよね・・?

つまり、この映画をどんな宇宙映画として捉えるかはあなた次第という事。

 

この映画には、謎解き?というか一つの真理観に基づいたある概念があります。

ただしミステリーではないので、それを躍起になって探る必要はありません。

ただ純粋にこの概念を探りながら見てみると、この映画が数倍楽しめるのでオススメです。

  

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―――ある日突然、世界の各地に現れる謎の飛行物体。
エイミー・アダムス演じる言語学者のルイーズは、フォレスト・ウィテカー演じるアメリカ軍大佐ウェバーの要請により、この未知の物体に乗ってやって来た異星人たちとのコンタクトを試みる。
ジェレミー・レナー演じる物理学者のイアンの協力を受け、ふたりはその彼らが地球へとやってきた目的を探ろうとするが・・

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 本物の宇宙観

今回は、この映画をなるべく多くの方に見て頂きたいので、感想はなるべく短めに。

自分にとってのこれまでの宇宙映画で一番のお気に入りは、このブログでも紹介した映画『コンタクト』でした。

『エイリアン』シリーズのような好戦的な宇宙人も嫌いじゃないんですが、どうも何億光年も離れた銀河からやってくる知的生命体としてはリアルに感じられなくて・・

『コンタクト』で描かれる宇宙人は、人間を遥かに凌駕する知性と、余裕と優しさに溢れた生命体なので、広い宇宙の中に存在するかもしれない異星人としては一番しっくりきます。

 

しかし、この映画を観て感じたのは、それはあくまでも人間的な概念の中での願望であり、ちっぽけな自分の夢想的な理想論だという事。

 

この映画でまず初めに驚かされるのは、その異星人たちへのアプローチの仕方。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督らしくそれはどこか儚げですが、既成概念を取り払った新しい試みでの未知の生命体とのファーストコンタクトは、受け手の知的探求心と想像力を限界まで膨らませてくれます。

更に、それを受けた地球人的な価値観の中での不安や、世界の国々の反応、リアクション等の描写も、それぞれの国民性を丁寧に風刺していて十分に納得。

そしてなによりも・・、

自分も含めた観客の多くが一番に感銘と感動を覚えたのは、彼らとの接触によって変化していくルイーズのその生き様です。

しかし、これには様々な捉え方があるので、次項からはその解読の為の3つのヒントを紹介していきます。

 

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①ヘプタポッドの文字

まず原作小説には描かれていない一番の大きな要素として挙げられるのは、この”ヘプタポッド”と地球人が命名した異星人たちの描く円形のロゴグラム。

美術スタッフが数学ソフト「Mathematica」の生みの親である理論物理学者のスティーヴン・ウルフラムとその息子クリストファーを招へいし、その解読と数学的な理論に基づきデザインされたこのオプティカルには、製作陣の圧倒的なストーリーに対する熱意が伺えます。

言語学的な立場においてもその徹底ぶりは素晴らしく、本作品の言語アドバイザーを務めたカナダ・マギル大学言語学部のジェシカ・クーン准教授が、自らのフィールドワークを具体的に指導し作中のルイーズの行動に取り入れています。

この文字に反映された監督の思いを知る事が、映画全体の真意を解読する一番のキーファクターです。
 

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②ルイーズのフラッシュバック

物語の冒頭から登場するルイーズのフラッシュバックは、それが過去なのか、未来なのか、妄想なのかをはっきり定義しません。

言語学者という世間とはちょっと距離を置いた孤独な日々の中で、彼女が垣間見るこのヴィジョンは温もりと情緒に溢れていますが、その中での彼女の物憂げな表情はとても印象的です。

私的には彼女の住んでいる家があまりにも理想的で、常にうっとりして見ていてしまいましたが・・
 

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③ノンゼロサムの真理

これが、この映画を最も象徴とするテーマです。

前章で紹介したルイーズのフラッシュバック内で、彼女の娘がルイーズに問いかける質問なんですが・・

・・ちょっと余りにも難解なのでまずは解説を。

 

非ゼロ和(ひゼロわ、英: non zero sum)とは、複数の人が相互に影響しあう状況の中で、ある1人の利益が、必ずしも他の誰かの損失にならないこと、またはその状況を言う。本項目ではそのような状況下でのゲーム(非ゼロ和ゲーム)を解説する。

この点が、ある人が勝つと他の誰かが必ず負けるというゼロ和とは異なる。非ゼロ和的状況は、獲得しようとする対象が、固定的でない、もしくは限定的でない場合に起きる。その状況の参加者の間で、資源を分配しあうというよりは、資源を蓄積していく状況に当てはまり、そこでは、ある人が利益を得たことと独立して、他の人も利益を得ることができる。

この概念は、最初にゲーム理論の中で考えられたので、ゲームという状況でなくても、非ゼロ和ゲームと言われることもある。

 wikipediaから抜粋

 

・・訳を見てもイマイチよくわかりませんよね。。

ちょっと「win-winな関係」にも意味合いが似ている気がしますが、日本人的な解釈をすれば、、

 

それは宮沢賢治の遺作の詩、「雨ニモマケズ」の世界観に近いような気がします。

 

良い結果になろうと悪い結果になろうと、損得勘定ではなく、誰かと関わる事そのもの、直向きに相手を想う「感情」。

劇中のルイーズは、物語の終盤でこの概念を目の前に突きつけられます。

そしてあらゆる現世において、相互理解による無利益な関係に、人類が何時の日か到達する事は出来るのでしょうか?

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 人類の究極の未来

・・ちょっと拡大解釈かもしれませんが・・

劇中のメインストーリーは一応、未知の生命体との接触をテーマにしていますが、彼らが地球へやってきた真意を探ろうとすれば探ろうとする程、この映画がなんだか詩集を読んでいるような不思議な感覚に陥っていきます。

更にその交信の末に、ルイーズが辿り着く新境地には、驚愕。

未知の生命体によってもたらされた、何時かは人類が手に入れるかもしれないその新技術は人を幸福にも不幸にもします。

この映画は、そんな妄想が膨らむ壮大な人類の明日を見つめ直す傑作映画。

・・そして、

大事な事は、この映画を通じて貴方に伝わった「メッセージ」を一緒に見た誰かに必ず届けてあげて下さい。

因みに自分が一緒に見た相手は、星新一のショートショートを連想したそうですが。

shimaumashita.blog.fc2.com

 

『メッセージ』は以下のVODで観賞できます。
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