マリブのブログ

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Netflixドラマ『13の理由』シーズン2第2話の私的な感想―コートニーの告白―(ネタバレあり)



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13 Reasons Why Season2 Episode2/2018~(アメリカ)
製作総指揮:セレーナ・ゴメス
出演:キャサリン・ラングフォード、ディラン・ミネット、ジャスティン・プレンティス、アリーシャ・ボー、ロス・バトラー、マイルズ・ハイザー

 複雑化していく関係性、大人たちの意識の変容

・・前回のシーズンより一層、生徒やその周囲の大人たちの関係性が複雑化してきました。

ポーターはスクールカウンセラーでありながらブライスを脅迫し、アレックスに嫌われていたはずのタイラーも、彼の自殺未遂をきっかけに親交を深めたようです。

この手の学園ドラマは、どうしてもスクールカーストの頂点にいる人間達の無神経さばかりを際立たせがちですが、『13の理由』ではその底辺にいる生徒たちの危うさにもしっかり焦点を当てています。

更にその危うさは彼らと対峙する大人たちにまで伝染し、ハンナの死をきっかけに彼らの社会的な価値観も少しづつ変容していきます。

しっかり見ていかないと解釈の難しいストーリー構成になってきましたが、単純化された勧善懲悪な映画やドラマ等で想像力を失っている現代人には最適なリハビリな気もします。

今年度より日本の小学校では道徳科の授業が始まったようなので、杓子定規な倫理観ばかり押し付けず、いっそこのドラマを彼らにしっかり見せて子供達同士での討論をさせてみてはどうでしょう?

なんて、、

文科省自体にこのドラマの真意を理解する想像力があるとはあまり思えませんが。。

シーズン2第1話の感想はコチラ
 

以下『13の理由』シーズン2第2話のネタバレを含んだ上での感想です。

まだご覧になってない方はご注意下さい。

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 女同士のキス

冒頭は作り上げたハンナの幻覚ときっちり会話しだすクレイから。
ポラロイド写真と自分の裁判との関係性をクレイに問いだすハンナ。。

ブライスに弁護士を紹介され彼との距離を保つことが出来なくなったザックは、アレックスの通学やリハビリを手伝う事で、自分の中での正義を必死に貫こうとする。

謎の人間からの脅迫に怯えるジェシカには、前回のエピソードから彼女を見守っていたジョックスからは距離を置く陸上部の生徒・ニナが近づき始める。
しかし彼女は、同じようにジェシカを気に掛けるポーターは完全否定。。

部室を何者かに滅茶苦茶にされたタイラーのもとへとやってくるクレイ。
ハンナの助言のもと、彼はポラロイド写真に写っていた生徒たちをようやく特定。
ポーターの授業に参加するようになったタイラーは、パンク系不良少年・サイラスと急速に親しくなっていく・・

 

 ・・前回のエピソードから登場してきたニナゴスサイラスと登場人物が少しずつ増えてきました。

そしてポラロイドに写る生徒は、クレイ達の4個上の先輩・トミーとエリカだと判明します。

彼らはリバティ高校の卒業生みたいですが、ブライスや野球部を仕切るコーチにまで高圧的な態度に出始めたポーターの様子を見ると、この学校に潜む闇はどうも根深そうです。

 

裁判所ではオリヴィアを支援する団体が、その勢力を徐々に強めていく。
急速にジャッキー達との関係性が強まっていくオリヴィアに警笛を鳴らす弁護士。
2人目に法廷に召喚されたコートニーはハンナとのキスのエピソードを赤裸々に述べるが、学校側の弁護士はコートニーの性癖を知ったハンナが逆にその好意を利用し近づこうとしていた可能性を主張。

不安を募らせていくジェシカはアレックスに相談を持ち掛けるが、彼はジェシカの抱える苦悩を拭えない。
アレックスはクレイに助けを求めるが、未だハンナの幻覚を見続ける彼もまたスカイとの関係に戸惑いを隠し切れずにいる。。
ブライスの新しいガールフレンドだったクロエはレイプを受けたジェシカを励まそうとするが、彼女達の現実とは程遠いその認識に愕然とするジェシカ。。。

 

 ・・現実を自分たちの都合よく捻じ曲げようとするハンナの死に直接関わっていない人間達の薄っぺらい想像力にジェシカ同様啞然とします。

日大アメフト部事件にも共通する校内のヒエラルギーの圧力が滲み出ていて、そこに問題定義を起こそうにも弱者の主張は常に権力者によって握り潰される虚しさ・・

しかし同時に差別やいじめの本当の原因は、その権力者を取り巻く部外者の貧困な想像力が生み出している気もしてきます・・・

 

少年院から復帰したシェリはポーターからの表向きな支援をあっさりと拒絶。
アレックスはザックのサポートの下リハビリを続けるが、自由に動かない自らの身体に苛立ちを覚える。
不安を募らせるジェシカは、法廷で真実を述べたコートニーの勇気に自らを必死に奮い立たせようとしている。。

ジャッキーを自宅に泊めていたオリヴィアは、ハンナとの思い出が残る自分の服を彼女に勝手に洗われてしまった事に憤りを隠し切れない。
法廷に立ったタイラーやコートニー、そしてジェシカの親達は、少しづつ成長していく子供たちの様子を優しく見守る。
クレイの両親とも上手くやり始めたスカイは彼とも再三深い関係を築こうとするが、クレイは未だ最後の一歩が踏み出せず・・

やがて孤独感を募らせたスカイはクレイの家を飛び出し、その彼女を自宅まで追っていったクレイは救急車で運ばれていく彼女の姿を見つめ、自分の無力さを痛感する。。。

 

 ・・自らの過失にもがき苦しむ生徒の心境と、そこから少しずつ成長しようとしていく子供たちの葛藤がひしひしと伝わってきます。

シーズン1ではメインストーリーに絡んでいたトニーは、今回はサイドストーリーの主人公の様に描かれ、オリヴィアの相談相手をしながら実は彼は保護観察処分中だった事実も明かされました。

高校生にしてはやけに落ち着いた存在感を出していた彼の暗い過去に、想像が膨らんでいきます。

 

「自分を守る時だけじゃなく、誰かを守りたい時に嘘をつくこともある」

 

という彼の台詞はあまりに印象的で、自分が同性愛者ならちょっと靡いてしまうかも・・


ラストはオチの様にクレイに助言し始めるハンナにちょっと笑ってしまいそうになりましたが、冷静に考えるとこのハンナの幻覚はクレイの葛藤の象徴そのものでしょう。

スカイに「愛してる」とは言えても、ハンナを「忘れた」とは言えないクレイの無限ループ状態のトラウマにどんどん引き込まれていきそうです。

シーズン2第3話の感想はコチラ
 

『13の理由』Netflixで視聴できます。 

www.netflix.com

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